珍しく本の雑感Ⅷ
またまた「積ん読在庫」から本を1冊引っ張り出した。
キッカケはヤセル・アラファトの逝去だ。
アラファトは1929年生まれだから享年75歳か・・・。
この後はどうなるのか?
どんな影響があるか?
さっぱり分からない。
そもそも勉強不足で中東情勢が良く分かっていない。
どっちが良いとか悪いとかも分からない。
と、前々から思っていた。
一度、中東情勢を概説した本でも読もう。
と、殊勝な事を考えた事があった事を思い出した。
と言う訳で「積ん読在庫」からこの本が日の目を見る事になった。
- 「アラブとイスラエル」
そのまんま直球勝負のタイトルが良い。
著者は「高橋和夫氏」、1951年生まれ。
アタマの構造は全然違うが、世代はごくごく近い。
その所為かどうか、とても読み易い本だった。
著者いわく、パレスチナ問題をテーマにした本はゴマンとある。
が、概して国際政治と言う視点は手薄である。
出来るだけ公平な記述、太いタッチの墨絵の解説を目指したとか。
と言う事で著者は国際政治の教員。
大学の仲間や学生の協力も得て記したそうだ。
ほぼ、著者の言う通りでこの問題を大掴み出来る。
やはりモチはモチ屋だと思った。
- ウロコ
やっぱり読んでみると辺り一面ウロコだらけ。
知らないと言う事は恐ろしい事だと思った。
意外だった事を抜粋してみようと思ったが本1冊丸写しになっちゃう。
それっくらい知らなかった。
落ちたウロコの一例。
- パレスチナ人ってはどんなヒトか?
- 同じくユダヤ人ってのはどんなヒトか?
- スペイン・ポルトガルが何故15世紀のレコンキスタ以降没落したか?
- 何故ユダヤ人はパレスチナに土地を手に入れる事が出来たのか?
- 1948年のイスラエル成立を何故米ソが揃っていち早く承認したのか?
- 何故中東で初めてエジプトにソ連の兵器が流入したのか?
- アラファトは何故太い資金源を持ち続けたのか?
- イスラエルの公用語は何故「ヘブライ語」と「アラビア語」なのか?
- 何故エジプトはイスラエルと平和条約を結び、孤立・貧困化したか?
- 何故イスラエルはレバノン戦争を選択したか?
- 湾岸戦争で何故イラクがイスラエルにスカッドミサイルを飛ばしたか?
- 何故アメリカはイスラエルに巨額援助を続けているのか?
などなど・・・。
いやあ〜、勉強になった。
たまにはウロコ落としに良いかも・・・。
- 歴史
歴史の勉強にもなった。
中東情勢と聞いても単なる民族主義のぶつかり合いと思っていた。
もしくは宗教的なぶつかり合い・・・。
なかなか単純では無い。
根が深いと言うか、複雑怪奇に絡み合っていてほぐせない事も分かった。
じゃ、これから先はどうしたら良いか?
とっても解決策なんか思いつかない。
世の中、簡単な事なんてあまり無いのかも知れないけど・・・。
複雑過ぎる。
でも人間の歴史って同じ事の繰り返しに見えなくも無い。
そもそも人間って世代を越えた学習機能は付いていない。
データの保存・移植媒体も付いていない。
世代が代わるとリセットされて、又1から積み重ねるっきゃ無い。
って事はやっぱ何万年も同じ事を繰り返してるんだ。
使ってる道具だけが進歩したのかも知れないけど・・・。
- 次のこと
この本読んでいて思った。
やっぱ世の中はなるようにしかならない。
後から考えても何が正解なのかも分からない。
要するに放っときゃ良いじゃん。
イスラエルって国もユダヤ人ばっかりじゃ無いそうだ。
底辺にアラブ人も沢山いてどんどん増えているらしい・・・。
国全体のアラブ化は避けられない様だ。
ユダヤ人の中にも現政府方針に反対のヒトもいる。
アメリカに移住して平和で豊かな暮らしを望むヒトも多い。
ユダヤ人国家はアメリカで建設すべきだ、と言う声もあるらしい。
既に出来てる様な気もするけど・・・。
イスラエルはどこまで現状で突っ張って行けるか?
何時までも他国のカネで暴力団まがいは続かないかも・・・。
パレスチナ人もアラファト亡き後、価値観が変わってしまうかも・・・。
意外に何十年か後には中東一帯が1つの国になってたりして・・・。