珍しく本の雑感Ⅶ

  • 古書ブーム

いつもちょこちょこ覗いている古本屋がある。
今年近所に開業した「Rボン館」だ。
Re-本と言うネーミングがイケてると思う。
最近は古書ブームなんだとか。
神田の古本屋も大変な盛況らしい。
ブームの要因として団塊の世代が貢献しているそうだ。
大量に停年後市場に放出されているこの世代の動向は社会現象になる。
大変な影響力だ。
停年の後、何をするか?
旅行・ゴルフ・蕎麦打ちが一巡するとやる事が無くなる。
次が読書なんだそうだ。
しかも若かりし頃に読んだ本をもう一度読みたい。
でもそんな昔の本は絶版が多い。
ノスタルジーに浸る為には古本屋を漁る。
これが今のブームの原動力らしい。

  • 怪しげな・・・

怪しげな本を見つけた。
何だか訳が分からないが買ってしまった。
タイトルは「はばかりながら「トイレと文化」考」
どうもこの手のネタに吸い寄せられてしまう。
著者は「スチュアート・ヘンリ」
名前がますます怪しい・・・。
が、1941年生まれ、早大院卒の文学博士。
大学の教壇に立ちながら、民族学・考古学の研究をしているらしい。
極めてマトモな著者だ。
トイレについて考える事は文化を考える事である。
この考えが終始貫かれている。
大真面目な文化人類学の本なのである。
只、多分知る限り空前絶後の題材じゃ無かろうか?
誰も大切な事とは思いながら、大真面目に取り上げるヒトはいない。

  • 目次

目次には「排泄行為と羞恥心」「トイレの変遷」などが並ぶ。
見ただけで臭って来そうだ。
因みに小見出しを幾つか拾ってみると、

    1. トイレに行くのを恥ずかしがるのが文明人か
    2. 平気でトイレに立つ日本女性
    3. 10cmも堆積していたロンドンの道路
    4. アメリカのトイレは文明的か
    5. 羞恥心の差と文化の差
    6. 人は何故お尻を拭くようになったか
    7. 豚を食べない中東にも豚便所
    8. 男性の為のレディ・ファースト
    9. 日本の町がきれいだったわけ

などなど・・・。
食欲に影響するので、あんまり露骨な小見出しは避けた。
でも兎に角内容は濃い。
濃過ぎて余計に臭って来そうではある。

  • 眼からウロコ

今後の人生に役立つかどうか別として驚く事も多かった。
1333年、楠木正成が城に立てこもって幕府軍と戦った時の話。
糞尿を大釜で煮立て、敵に浴びせ掛けて戦果を上げたとか。
これが「やけクソ」の元祖だそうだ。
へ〜へ〜へ〜。
イギリスはトイレットペーパーの消費量が非常に多いそうだ。
どうやらその原因は紙が硬く吸湿性が悪い所為だと言う。
用途が広くメモ用紙や便箋に使われる事が多いと言う事らしい。
確かに納得出来る。
今年の夏に行って見て紙の立派さは実感出来た。
その他にも眼からウロコの話が沢山あった。
でも読み進む内にだんだん本が黄ばんで見えて来た。

トイレネタで思い出した。
ウチの会社にちょっと変わった御仁がいる。
1年前に転勤して来た。
その日を境に会社のトイレの様相が変わった。
会社にはビルメンテナンス会社が入っていて毎日清掃してくれる。
にも拘わらずトイレが常に汚れている様になった。
男性用便器(アサガオ)の下の床がびしょびしょになってる。
清掃してくれるおばさんに前からそうかと訊いてみた。
やはりそうでは無かった。
その御仁が転勤して来てからと判明。
以来清掃が急に大変になったと言う。
一計を案じ、「一歩前進」の張り紙をしてみた。
韓国の「海印寺」のトイレで見かけた張り紙にヒントを得たモノだ。
が、全く効果は無かった。
腹立たしいのでミーティングや朝礼でも注意を促した。
全く効果ゼロ。
自然に「ろくに仕事も出来なくてシモの始末も出来ないヤツ」
と言われる様になってしまう。
もはや諦めムードだが本人以外全員がイヤな思いをしている。
たまに本人が不在だと皆が安堵する。
「今日はトイレがキレイで気持ちが良いね」が合言葉だ。
許し難い。
ったく、神経が理解出来ない。
こう言う御仁は自宅のトイレでも撒き散らすんだろうか?