検診の雑感

  • 突然の電話

珍しい人物から電話が来た。
実家の傍に居を構える次男坊からだった。
多分、声を聞いたのは一年ぶりくらいかな・・・。
今年御殿を構えた堅実・甲斐性持ちの三男坊とはちょっと違う。
どっちかと言えば長男系脳天気だ。
その生態系は良く分からないが、何とかやってる様だ。
時々、実家に夕飯を喰いに来るらしい。
「おう、珍しいな」
「実家にメシ喰いに来てるだよ」
「そうか、どうした?」
兄弟の電話なんてこんなモンだ。
そもそも何か用事が無きゃ電話なんかしないと分かってる。

  • 定期健診

用件は母親の検診結果の相談。
何でも6月に受けた検査結果で「要再検」項目があったらしい。
それを放ったらかしにしておいたので会社から督促が来たと言う。
随分、親切と言うか大きなお世話と言うか・・・。
いずれにしても再検査はどうした?と攻められているらしい。
「何が引っ掛かったんだ?」
「え〜と、何て読むだか分かんにゃあけど、心が虚しい血・・・」
「心虚血の疑いってか?」
「それそれ!それと総コレステロール中性脂肪んとこにホシが付いてる」
「幾つんなってる?」
「両方とも230ぐりゃあだなあ」
「総コレはともかく中性脂肪はかなり高いな」
「そいでも随分下がってるだよ。3年前は280くらいあったで」
「そう言えば随分気をつけていた時期があったなあ・・・」
つい半月前に法事で帰省したばかり。
その時に健康の話をしても何も言って無かった。
関心が無いんだか、心配されるのがうざいのか・・・。
いずれにせよ、取り合えず再検査させる様に釘を刺して電話を切った。

  • 総合検診

たまたま今日の新聞に総合検診の記事があった。
国立がんセンターが今年始めたハイテク検診だそうだ。
内視鏡、超音波、CT、マンモグラフィー、PETと豪華な顔ぶれだ。
高度高額検査のオンパレードだ。
検査料金は男性189,000円、女性225,750円だそうだ。
がんの発見率は3.3%、何と30人に1人と言う高率。
勿論、喫煙者・不摂生など身の覚えがあるヒトが受診する所為もある。
これだけのカネを払って検査するのはそれなりの立場だろうし・・・。
でも何だかなあ・・・。
そんなに見つけてどうすんだろう?
人間、知らなきゃ知らない方が良い事も多い様な気がする。

  • 検査漬け

日本の検査体制は世界でも稀らしい。
技術力云々では無くって頻度の問題。
どうも検診そのものも素直に信じる気にならない。
人間がやってる事なのに、あんなに大勢の検査がまともに出来ると思えない。
流れ作業で病気創造みたいな・・・。
取り違え、見落としなんてザラにありそうな気がする。
検査漬けは医療機器屋と試薬屋が一番喜ぶ。
そして結果的には医者と薬屋の新規市場開拓が出来る。
何だかなあ・・・。
日本人は放射線被爆による発がんが欧米の数倍高いそうだ。
何故ならしょっちゅうレントゲン撮影されて、被爆機会がめっちゃ多いから。
検査してがんが増えると言うシャレにらない実態なんだそうだ。
何だかレントゲン撮るのイヤになったなあ・・・。

  • 発がん機会

かなり昔、ある講演会で著名な医者の話を聞いた事がある。
この医者いわく、ヒトは日々無数のがんになる機会に曝されている。
1日に数百の発がん物質や放射線・紫外線・熱などに出遭っている。
でも本来ヒトが持っている生体防御反応で防いでいる。
何かの拍子にこの防御反応がキレてしまった時に発がんする。
これはもうほとんど運でしか無い。
せめて出来る事は元気な身体を維持する努力。
なるべく発がん機会を避ける努力くらいである、と言う話だった。
特に日本人は熱い喰いモノ・飲みモノが好きだ。
普段飲んでいるお茶なんか指を入れたら火傷する。
その熱湯を始終食道や胃袋に浴びせ掛けているんだから堪らないと言っていた。
なかなか面白い講演だった。
思いっきり納得してしまったのを覚えている。
以来、熱いモノは一切我慢して口にしなくなった。
元々が「ネコジタ」なので、好都合だった。
元気な身体作りも大賛成。
その為の自分流はありだと思う。