珍しく本の雑感Ⅵ

  • 掘り起し

たまたま以前買って積んであった本を掘り出した。
正に「積ん読」状態だった。
能力は付いて行かないが、意欲だけはある。
興味が湧いて買ってくる本は結構あるんだけど・・・。
お茶引いてる本は数知れず。
去年、韓国に行く時に読もうと思って買った本じゃ無かったかな・・・。
タイトルが物議を醸しそうな・・・。
韓国併合への道」と言う本だ。
丁度、東京に出掛ける日が続いたので電車の中で読んだ。
何と無く気になってタイトルを隠して読んでいた。

  • 韓国人

著者は「呉善花(オ ソンファ)」1956年韓国・済州島生まれ。
何だ、同世代じゃん。
戦争を知らないポスト団塊世代じゃないか。
普通は韓国・中国を始め、東南アジアの国には反日感情が根強い。
世代が替わっても脈々と怨みつらみが受け継がれている印象がある。
著者も親や祖父母の世代から戦時中の話を伝承されているだろう。
読む前からきっと激しい攻撃的内容だろうと想像していた。
が、見事に予想は外れた。
その時その場所にいたヒトじゃ無いから書けるのかも・・・。
その冷静な見方にはちょっと眼からウロコ。

  • 日本人

片や日本ではもう戦時中の記憶はほぼ消えてしまった。
戦争が有った事さえ知らない若者が登場している。
憲法とか第9条とか「うざい〜」と一蹴されてしまう。
何か騒動があると自衛隊が攻め込むべきだとか言う若者もいる。
確かに戦争を知らない世代が大半を占めて来た。
折角代替わりしたのに暗い過去だけを引き摺って歩くのもイヤだ。
が、あまりに脳天気で全く知らないのもどうかと思う。
「歴史を学ばなければ、きっと歴史が教えに来る」
と言ったヒトがいるらしい。
なるほど、と思う。

  • 清涼感

韓国生まれの著者が書いてるから救われてるんだと思う。
読後感はとても良かった。
偏らず、感情的で無く、理知的な内容だった。
終戦から現在にまで至るまで、韓国のスタンスでは何も生まれないと主張。
「加害者」としての日本糾弾に終始する韓国に苦言を呈す。
韓国人が読んだら怒り狂いそうだ。
国賊・非国民扱い間違い無い。
ましてこれを日本人が書いたら大変な騒ぎだ。
間違い無くハチの巣をつついた様な騒動に発展するだろう。
韓国人が冷静に見ているスタンスが良かった。
歴史背景、国家体質・民族体質を踏まえながら要因を究明する。
この重要な作業がいまだに韓国でなされていない事を強調していた。
ホントは日本でも同じ事が言えるんだろうと思う。
何でもクサフタではどーしょーも無い。
何つってもやはり「加害者」は何も言えない。
「被害者」がここまで言ってくれてる事に感謝しなくっちゃ。

  • 反省

著者は韓国にいた時は当然の様に反日教育を受けた。
日本人は「過去を反省しようとしないヒト達」として頭に叩き込まれて来た。
が、来日してその言葉は逆に韓国に当てはまると思ったそうだ。
ん〜〜ん・・・。
その感想も必ずしも当っているとは思えないけど・・・。
当てはまるのは一部の日本人だけだしょ。
日本でもビンテージ軍人や全く無知・無関心が大半だし・・・。
著者は大東文化大に留学してから随分勉強したんだと思う。
この本も膨大な参考文献に基づいて書かれている。
随分、勉強になる事があった。
中国に倣った季朝国家の政治システムの歪み。
欧州各国・アメリカ・ロシア・中国・日本のせめぎ合いの熾烈さ。
驚いたのは、20世紀初頭の韓国に「日韓合邦運動」があったと言う話。
しかも当時の政治・社会運動の最大勢力だったとか。
但し、あくまで「合邦」を望んでいたのであり「併合」では無かった・・・。
間が悪かったのかな?

  • 韓ブーム

「冬ソナ」始め韓国ドラマがブームだとか。
正直なところ理解に苦しむが、何にしても悪い事じゃ無い。
おばさんみたいな「よんさま」に夢中になるおばさん軍団。
羽田―ソウル便も出来て「冬ソナ」ツアーが流行っているらしい。
日本の大衆芸能も最近になって解禁されたとか・・・。
韓国人の日本への旅行者も増えた気がする。
東京のJR駅にもハングル文字が出現したし・・・。
キムチとかチゲとかも流行ってるみたいだし・・・。
平和の象徴かね。
ま、何しか良い事だと思う。
また、「日韓合邦運動」に発展したりして・・・。