イタメシ屋の雑感Ⅴ

  • ハードトレーニング

連日の厳しいテニス練習。
嫁さん、よっぽど掴みかけていると見える。
なかなか積極的である。
今日は足捌きの練習を中心に2時間。
結構ハードだった。
打ち終わってみると放心状態。
自動的にどっか喰いに行くか・・・。

  • 「Iート」

以前から気になっていた店だ。
一度ランチを喰いに行ってそこそこ美味かった。
ディナーは行った事が無い。
一度、ディナーを喰ってみたかった。
でも、家からはちょっと離れている。
同じJR駅の南側と言っても、地区ごとに独自の文化圏がある。
この店のある辺りは「西海岸」地区と言う。
ちょっと小洒落た店が並び、商店街が胸を張っている。
家から歩くと20分くらいかかるだろう。
嫁さんが「チャリで行こう」と言う。
チャリも暫く乗って無いのでタイヤの空気が無いのでは・・・。
「こないだ空気入れて磨いといたから・・・」
完璧である。
きちんと足の用意まで出来ていた。
会社の若手に見習わせたい段取りの良さだ。

  • 「なんや亭」のシェフ

気になっていた理由がもう1つ。
あの伝説の「なんや亭」のシェフがここにいるらしい。
「なんや亭」を閉めた後、パティシエとしてこの店を手伝っていると聞いた。
折角手伝っているならドルチェだけと言う事はあるまい。
意外に「あの味」に出会えるかも知れない。
いた!
確かに厨房をあわただしく行き来している小柄な後姿はシェフだ。
チラチラ見ていてもなかなか気付かない。
心なしか顔つきが変わったかな。
あの緊張感いっぱいの日々とは違うだろうな。
雇われの気楽さ、あの時のハイテンションな顔色は見えない。

  • フルコース

当店で一番高いメニューを選択。
「何でもいいから一番高いものを持って来い」と頼んだ訳では無い。
酔っ払いのオヤジじゃ無いんだから・・・。
アンティパスト、スパゲティ、メインディッシュを夫々選べる。
後は口直し、ドルチェ、コーヒーが付いてる。
これで2、850円とリーズナブルだ。
肝心な味は・・・。
玉石混交・・・かな。

  • 片鱗

まずビール。
ローエンブロイの中ジョッキ(600ml)をオーダー。
珍しいビールだけど微妙な味だ。
アサヒ・スーパードライを置け〜!
最初にフォカッチャが出て来た。
ゴマがまぶしてあってまずまずだが、ちょっと塩が強い。
少し油っぽいのも気になった。
不味くは無いんだけど・・・。
「なんや亭」のローズマリー入りフォカッチャが懐かしい。
アンティパストの1つは「野菜と海の幸のマリネ」
イケてる。
マリネはエビ・イカ・燻製・キノコ・ナスなどが上品に盛り合せてある。
味も上品な薄味で酸っぱさも丁度良い。
もう1品は「ナスのモッツァレラチーズ焼き」
これも美味かった。
ナスのトマトソースとチーズのシンプルなオーブン焼きだ。
モッツァレラチーズの味がどうも覚えがある。
でもトマトソースの味はちょっと濃いめかな・・・。
スパゲティの1つは「ナスのトマトソース」
まずまずだとは思う。
トマトソースと言うよりはミートソースのイメージだった。
何か学生の頃に喫茶店で喰ったスパゲティを思い出した。
パルメザンチーズが出て来たのもうなづけた。
タバスコは無かったけど・・・。
もう1品は「ドライトマトとフルーツトマトのバルサミコソース」
これは面白かった。
不思議な取り合わせが微妙にマッチしている。
「なんや亭」の片鱗がチラチラと・・・。
でもガーリックが多過ぎるのと、味もちょっと濃いめかな・・・。
もうちょっとなんだけどなあ・・・。
厨房の中に「なんや亭」のシェフがいると思うと尚更そう思う。
シェフの「オリーブとアンチョビとトマトのペペロンチーノ」は絶品だった。

  • メインディッシュ

「スズキのグリル」と「ミラノ風カツレツ」を選択。
スズキは香ばしく焼けていた。
が、マッシュポテトの土台に乗っかって、カレーソースだった。
何で?
折角のスズキが・・・。
もっとさっぱりとバルサミコソースか何かで喰いたかった。
「ミラノ風カツレツ」は見た眼はなかなかだった。
小ぶりのカツレツに根菜類のグリルが沢山、更にルッコラが山盛り。
但し、味はぶーだった。
カツレツが全然ミラノ風じゃ無かった。
ぶ厚いトンカツで肉が微妙に臭かった。
何だか分からないソースも微妙に臭かった。
グリル野菜には味が無いのでソースの臭いが全体を支配してしまう。
嫁さんはウサギのごとくルッコラを喰っていた。
何だかなあ・・・。
他の料理は分からないけど、メインはイマイチかなあ・・・。

  • デザート系

口直しのシャーベットが出た。
ん?
口紅の味がする。
思わず器の底を見る。
「コーセー」とか書いてあるんじゃ無いかと思って・・・。
「ローズ味」なんだと思うが・・・。
やっぱ口直しはレモンとか柚子とかでしょ。
次いでドルチェとカプチーノ
ドルチェはプレートに数種類が乗っている。
メロン、巨峰、杏仁シャーベット、主賓はフルーツロールケーキだ。
杏仁シャーベットを口直しにすれば良かったのに・・・。
フルーツロールケーキは抜群に美味かった。
懐かしい上品な味がした。
やっぱ、シェフがメインで仕切れるのはドルチェだけなのかな・・・?

  • 総評

もう一度チャリンコ飛ばして行くか?
微妙である。
少なくともコースのメインはダメっぽい。
単品で好みの料理だけで良さそう。
「なんや亭」のシェフがいると思っちゃうと欲目が出る。
もっと美味いはずじゃないか、とか思っちゃう。
多分、それは叶わない。
シェフも今は雇われの身。
勝手な事は出来ないのかも知れない。
もうちょっと美味しく出来るのに・・・と思いつつ悶々としてるかも知れない。
贅沢は言えない。
この味でこの値段は十分合格ラインだと思う。
気持ちは微妙だけど・・・。