居酒屋の雑感Ⅲ

  • サラリーマンの夕べ

久々に先輩からお誘い。
忙しくて時間が無いって訳でも無い。
気持ちが乗らないと言うのが正しいかも知れない。
職場が世知辛くなって来ている事もある。
先輩と飲みに行くのが当然と思うのは我々世代が最後かも・・・。
時代は変わってる。

  • 「H海道」

今年、JR駅ビルの南側に新規オープン。
東京に広く展開するチェーン店だ。
今を時めく「コロワイド」の経営だ。
他にも安い居酒屋やイタメシ屋もやってる。
その中でもここは少し高級イメージで売っている。
店内はゆったりした造りで禁煙席もある。
居酒屋コーナー隣に回転寿司コーナーもある。
こちらは結構人気があっていつも満席。
オープン間も無い頃に入ってみた。
その時は兎に角時間が掛かるという印象だった。
その後も何度か利用したが、その都度同じ印象だった。
最初は開店当初の混乱かな?と思っていた。
その後、ひょっとしてそう言う仕組みだという事に気付いた。
セントラルキッチン方式とは違うぞ、と言いたいとか。
当店はチンして出すだけじゃありません、とか。
ちゃんと1から調理するので時間が掛かります、と言う事か。
でも生ビールも出て来るのに時間が掛かるのは何故?

  • 対策

遂に当方も対策を講ずる。
席に着いたら、直ぐに生ビールと簡単なつまにだけを注文。
後はビールが出て来るまでの優雅な時間を利用して好きな料理を選ぶ。
あ〜でも無い、こ〜でも無いと議論しながら選択の楽しみを満喫。
生ビールが届いたら間髪を入れずにオーダー。
この手で「お預け状態」のイライラを回避出来る。
そ〜までして行かなくったって・・・と思うでしょ?
小市民も全く同感である。
が、家でも会社でも小市民に店の選択権は無い。

  • 作戦

席に着くといつも通りの注文。
次はビールが来るまでの優雅なメニュー選びの時間だ。
今日のメンツは先輩2名だけ。
後輩が誰もいない。
いつもの対策に加えて作戦が必要である。
両先輩ともにアノ世代。
テーブルに料理を並べる事に生き甲斐を感じる世代だ。
必死でアタマをクルクル回してメニューを考える。
死に物狂いだ。
今日は意外にも生ビールとお通しが直ぐに出て来た。
あれっ!
ちょっと焦る。
「トマトとモッツェレラチーズのサラダ」「ジャコと大根のサラダ」「枝豆2つ」
とオーダーし、まずはサラダ系で場所を埋める。
先輩が「刺身盛り合せ」をオーダー。
テーブルの飾りに刺身は欠かせないと思われている。
でもほとんど喰った例は無い。
やばい!焦る。
次の場所埋めに「ザル豆腐」「じゃがバター」「タコの唐揚げ」をオーダー。
これで結構埋まるはずだ。
先輩が更に「大根とブタの角煮」「イカソーメン」「コロッケ」とか言ってる。
(止めてくれ〜!)
「一旦これっくらいで止めましょう」とストップをかける。
ま、時間をかけて片付ければ良いか、とタカを括った。

  • 方針変更?

ところが今日はおかしい。
ビールに続いて料理も早い。
次々にバンバン出て来る。
おいおい、勘弁してくれ。
何だか方針変更したのかな?
たちまちテーブルは皿であふれかえった。
しかも6人掛けのテーブルに3名で座っているのに・・・。
先輩が「これだけ料理が並ぶと幸せな気分だよなあ」とのたまう。
やれやれ・・・。
覚悟を決めて必死で喰い始める。
これもタイミングが難しい。
あまり早く片付いてしまうと追加オーダーを出されてしまう。
小市民は頑張った。
後半追い込み型の作戦通り、ほぼ片付けた。
流石に最後になって中トロとかブタ角煮は辛い。
不本意ながら若干は残った。
でも今日は上出来だった、と自分で自分を誉める。

ま、そんなこんなで味は二の次。
ではあるが、一応味の評価はしている。
って言うかやっぱしマニュアル通りの味なのであまり感ずるモノは無い。
万人向けの味で外れは無い。
でも何を喰っても同じ味に感じる。
これは当店だけじゃ無い。
チェーン店の全てが同じ味に思えるのは何故だろう?
とか考えていると、先輩から「仕上げに何か喰って帰ろう」と一言。

  • 最後の儀式

ここから又、じゃれ合いの儀式がある。
先輩はアンコ大好き人間。
「あんみつ」「ぜんざい」の類をオーダー。
飲み屋にあるまじきメニューで、店員が困惑するのが楽しいらしい。
すったもんだしてコンビニまで買いに行った店もある。
最終的にはアイスクリームとかで妥協する。
先輩はこれを我々に振る。
我々はソバとか握り飯で仕上げているので、とっても喰えない。
さんざん弄ばれたデザートはあえなく置き去りにされるのである。
そんな訳で居酒屋の多くは小市民のお勤めの場なのである。