イギリス旅行記の総括

  • 成田到着

ほぼ予定通り17:00ちょっと前に到着。
もうスーツケースが出て来れば後は自由解散。
添乗員のトモコさんが最後まで見守って挨拶する。
今回のアンケートには添乗員を絶賛しておいた。
揺ぎ無いキャラ、神経の太さと細かさ、絶品だった。
参加者を不安にさせる事無く非日常に引き込むワザがあった。
大感謝。
反面、同行メンバーとの接点は希薄だった。
以前は成田で別れるのが名残惜しい気持ちになるヒトが多かった。
住所やアドレスを交換して今でもやり取りしているヒトもいる。
全体的に人間関係が希薄になっているんだろう。
今回のメンバーは「飲んべ従姉妹」以外は付かず離れず。
1回も会話して無いヒトもいる。
なるべく拘わりたく無いし、拘わって欲しく無いと言う事かな。
自分自身も決して積極派では無いので尚更かも・・・。
我が国民はホントにこれで良いんだろうか?

  • 世界の原点

帰りの機中で嫁さんと話した。
イギリスはもっと早く、若い時に行くべきだった。
ハワイでもフランスでもイタリアでも無い。
最初にイギリスに行くべきだった、と言う事で意見が一致した。
ラフに言えばイギリスは全ての原点だと感じた。
大英帝国の誇り、厳格な階級社会、ジェントルマンシップ。
そんなモノがこの国の根底を流れている様に感じた。
日の沈まない国であった経験は伊達じゃ無いと思う。
大所高所から世界中に目を配っている大人の国。
反抗期の子供がイキがっても放任を装って包み込む器がある国。
その子供とケンカしそうな自己チューな子供とも会話出来る国。
悪環境下でも科学技術・芸術文化のバランスを常に維持出来る国。
人間の営みが必ず最優先にされる国。
こんなイメージを持ってしまった。
イギリスがユーロに参加しない理由も何と無く分かる気がする。
買いかぶりかどうか確認する為に、どうしてももう1度行かなきゃ。

  • ケツの座り

多分、今まで旅行した中で一番良かった。
たかだか10日間で何が分かるか?
いろんな要素がある。
水や空気の味から始まって、光の色みたいなモノはすぐ分かる。
次にジモティの人柄とコミュニケーションの難易度。
同じくヒトが作る生活習慣・街の景観・環境などが見えて来る。
治安・利便性・インフラのいろんな配慮も大きな要素だ。
イギリスは何だかとても違和感が無かった。
日本と同じ島国と言う事もあろう。
日本がイギリスをお手本にして来た影響もあるだろう。
どこにいてもケツの座りが良い。
必ずもう一度行くぞと思わせる要素たっぷりだった。

  • アナログ社会

これも何と無く心地良かった要素の1つだと思う。
地下鉄の切符も窓口販売が主。
我々が乗った駅に自販機は2台しか無かった。
地下鉄車内も殺風景でデジタルの駅名表示板なんか無い。
まして液晶テレビで天気予報や英会話教室なんか流れない。
車内放送も無いし、降りたきゃ自分でドアを開けて降りる。
バスは車掌さんが切符を売るし、停車ボタンなんか無い。
「降りま〜す」の世界だ。
タクシーは乗らなかったが手動ドアで、窓越しのお伺いが必要らしい。
「どこそこ迄行きたいんだけど言ってくれる?」と訊くのがマナーとか。
勿論、ほぼ100%OKらしいが・・・。
考えてみればパブも極めてアナログだ。
群れの中に肩を押し込んで、大きな声でオーダーする。
勘定は全てカウンター越しのやり取りだ。
乗り物の中でケータイに熱中しているヒトなどいない。
食券を買って無言で喰う立ち食い蕎麦みたいなのも無い。
不要なオートマチックを極力排除した社会。
これが小市民的イメージかな。
日本の向かってる方向とは随分違う。
非日常を求める日本人にとってはケツの座りが良かった・・・。

  • 生活すること

でも生活するとなればいろいろあるだろう。
たかが10日間の無責任観光旅行とは訳が違う。
見たところ、物価は決して安くは無い。
聞いた話ではロンドン市内に家を求めると大体5,000万円くらいとか。
テラスハウスやセミ・デタッチド・ハウスで3ベッドルーム。
これが標準的な家の様だ。
やはり日本と同じで25年ローンが主流で、生活を圧迫するそうだ。
年金不安がある点も日本と同じらしい。
若年世代は無理してももう1軒家を買うのがブームとか。
不動産収入を年金代わりにしようと言う事だろう。
どっかで聞いた事のある話だなあ・・・。
ロンドンだけでも隈なく歩いてみたい。
カントリーサイドも捨て難い。
出来れば個性豊かな他の街も探索出来たらもっと良い。
スコットランド北アイルランドまで網羅出来たら最高。
経済的に且つ時間的に許されるなら一度住んでみたいと思う。

  • シモの話

イギリスでトイレに困ったのは1度だけ。
ストアーヘッド庭園で嫁さんが死ぬ思いをした時だけだ。
後はどこに行っても良く整備された近代的トイレが必ずあった。
不案内なロンドン市内を歩いていても全く心配無い。
あ、ここにもある。あそこにもある、と言うくらいふんだんにある。
そう言う意味では毎朝、観光に出掛ける前の儀式も必要無かった。
儀式と言うのは「絞り出し」である。
ただ1つ、シモ関係で不満があった。
ビデである。
たまたまかも知れないが全てのホテルの部屋にビデが無かった。
これが為に結構毎朝難儀した。
日本はかなりの率でウォシュレットが普及している。
我が家も十数年愛用している。
職場でもほとんど設置されている。
我々のお尻は想像以上に脆弱になっている。
噂には聞いていたがイギリスのトイレットペーパーは恐ろしく硬かった。
日本の留学生がトイレットペーパーで手紙を書いていたと聞いた事がある。
なるほど、さもありなんと思える硬さだった。
例えて言えば、クチビルに紙やすりをかけてるみたいな・・・。
飛び上がってしまう。
ビデは大変便利な代用品なのだ。
ビデが無い場合はどうするか?
シャワーを利用する。
シャワーが高い位置で固定されている時はどうするか?
これが大変なのだ。
クロバットでカランを上手く使うしか無い。
バスタブのフチは不安定で、ヘマをすると仰向けにひっくり返る。
そんな大変な思いしなくても夜ゆっくりすれば良いじゃん。
ところが長年の習慣は恐ろしい。
朝は必ずトコロテン式にプログラムされている。
ほぼ自動的に入れたら出る。
夜まで温存するのは至難のワザだ。
そんなこんな、我が家の朝の戦争は真剣勝負なのだ。
でもこんな些細な不満など吹っ飛ぶほどイギリスは良かった。
何とか次回に取っておいた楽しみを実現したいモノだ。

日常の世界に舞い戻って数時間。
ばあやにお礼を言って、後片付けを始める。
洗濯物の合間からポロポロ土産物が出て来る。
片付けして、シャワー浴びて、ビールを注いだらもう真夜中。
日付変わってもうすぐ3:00だ。
「何だ、もうすぐオリンピックの開会式じゃあ」
アテネの突貫工事の成果を見ながら非日常から日常の夢の世界へ・・・。