ロンドン市内観光の雑感Ⅱ

  • 出たとこ勝負Ⅱ

今日も特にスケジュールは立てていない。
嫁さんの顔にはくっきりとゴシック体で書いてある。
「今日はもう歩きたく無い」
とても「テート・ブリテン」・・・とか言える雰囲気では無い。
今日はゆったりとイングリッシュ・ブレックファーストを摂る。
部屋に戻ると嫁さんはストレッチと自力整体を始めた。
嫁さんは基本的にアスリートだ。
今日は機中泊だからシャワーを浴びておこうと言う。
荷造りが終わるともうすぐ10:00だ。
「今日はどうするの?」と訊いてみる。
ハロッズに行きたい」と言う答えが返って来た。
他には特に何も無さそうである。
取り合えずのんびりと出掛ける。

  • ロンドンバス

やはり「ダブルデッカーバス」は一度乗ってみたい。
ホテル近所のバス停から乗り込む。
バスは狭い道を縫う様にシェンシェン飛ばす。
2階は揺れが大きいが眺めは良い。
地下鉄より遥かに快適だ。
これで£1(約220円)はまずまず。
このバス、乗るのは簡単だが降りるのはワザがいる。
停車ボタンも何も無い。
降りるヒトは前もって見計らって車掌に意思表示して置く様だ。
道中いきなり凄い豪雨になった。
そう言えば天気予報ではイギリス中が激しい雷雨の予想になっていた。
良くぞ今まで雨に当らずに来たもんだ。
これも平素の精進の賜物・・・。
んな訳は無いか?
悪運の強さか?
ハロッズ前に来たら雨はピタリと止んだ。

とんでも無いデパートである。
王室御用達とかで63,000㎡の店内は迷路の様だ。
うぐいす張りのフロア、本気で商売する気があるのかと思う様な品揃え。
凄い数の従業員がいて客の数より多そうだ。
豪奢と言うか、重厚と言うか、大仰と言うか、ちょっと笑える。
噂の有料トイレに入ってみた。
確かに入口にビシッと制服姿の従業員が立ってエスコート
トイレの中は日本のバブル期のゴルフ場に近い。
洗面所に整髪料やコロンまで置いてあった。
その横にトレイがあって幾つかコインが置いてある。
なるほど、要するにチップ・トイレ方式だ。
用を足して出ようとしたら先ほどの制服姿がいない。
タダションしちゃった。
フードコーナーを歩いてみた。
売れるかどうか知らないが、ありとあらゆる物がセンス良く並ぶ。
寿司バーもあった。
日本の惣菜コーナーもあって、かなりの品揃えだ。
寿司セットを売っていた。
ぐらっと来たが値段が凄い。
にぎり寿司などのセットが£12〜15(約2,600円〜3,300円)。
高っけえ〜。
ポンドの感覚に慣れないとついつい半値に感じてしまう。
後でどこか日本食の店に行こうっと。

  • 「ハーヴェイ・ニコルズ」(Harvey Nichols)

ダイアナ妃がお気に入りだったと言うデパートだ。
ダイアナ妃の為に朝の7時から営業したとか。
ハロッズより庶民的で人気が高いらしい。
確かに庶民的だ。
大きさも手頃で買い物はし易いかも知れない。
規模的には我が街の「U屋」と大差無い様な気がする。
折角なのでこちらのトイレも使っておいた。

  • ラーメン屋

三越でもらったチラシによると三越の近所にラーメン屋がある。
これをエサに通りの散策を提案する。
ハイドパークを舐めて、リッツの前を通りリージェントストリートへ。
ほどなくラーメン屋「亮」が見つかった。
店主らしいおばはんがカウンターにどっかり腰を下ろしている。
ギャルみたいな日本人スタッフが3〜4人いる。
先払い制だと言う。
予想通り生ビールは無い。
アサヒスーパードライの小瓶だけだ。
ビールとラーメン&半チャーハン、嫁さんはラーメン&ミニちらし。
会計は£20(約4,400円)だ。
高いがハロッズの寿司よりはましだ。
ま、味は推して知るべしだが、昨日の中華より数万倍美味かった。
「ホシ1つ半です」と言うところか。

  • 早目の帰還

ずっとビールについていないので早めにホテルに戻ってバーに行く事にする。
帰りもやはり地下鉄は止めた。
ダブルデッカーバスで景色を眺めながら帰った。
後から考えると何だかんだ、騙しだまし地下鉄3駅分の距離を歩いていた。
やはり人間はモチベーションの動物だ。
ホテルに近づいて来たので下の階に降りようと立ち上がった。
突然、バスが大きく揺れた。
あれっ。嫁さんがいない。
見ると吹っ飛ばされて離れた席にひっくり返っている。
周囲のヒトの眼が点になってる。
流石はアスリート。
良く頭をぶつけなかったもんだ。
とか感心している間にバスはホテルの前を通過。
「降りま〜す」は通じない。
結局、次のバス停からバックだ。
バーで最後のビールをオーダーした。
「うんめえ〜」
帰って来た同行のメンバーが遠くで笑っている。
「あのヒト又、飲んでるよ」ってか。
てやんでい。やっと飲めたんでい。

  • 「ハンプトンコート宮殿」(Hampton Court Palace)

帰国は21:00発JL-404便である。
空港に向かう前に最後の観光が付いている。
何と無く得した様な気がする。
ここの庭園は素晴らしかった。
チューダー様式の宮殿も凄いがやはり目玉は庭園だ。
宮殿の中は「カリブの海賊」パターン。
厨房には食材の鹿やウサギの剥製まで置いてあって、ちょっとやり過ぎ。
かまどには火が燃えている。
この暑いのにサービス過剰じゃ無い?
かの有名なヘンリー8世にまつわるいろんな見どころがある。
6回結婚して2人の首を切り、2人は離婚して、2人だけが添い遂げたと言う。
我が侭で残忍ながら強大な力を持ち、多くの建造物を残したらしい。
いつの世もこう言う存在が無いと後世に遺産は残らないと言う事か。
びみょ〜。
ロイヤル・テニス・クラブと言うのがあった。
世界最古のテニスクラブだそうだ。
覗いてみるとヘンなテニスコートで老人がプレーしている。
丁度、スカッシュコートを倍にしてネットを張った様なモノだ。
老人達のプレーもスカッシュの様である。
真ん中にネットはあるが、壁を使ってテニスボールを打ち合っている。
きっとこれもサービスで無理して昔を再現してるんだろうと思った。
後で聞いたらとんでもない。
あの方々はここの正規メンバーで、真剣にプレーしていたんだとか。
ここのメンバーになるのは大変でそれなりの紹介が無いとダメだそうだ。
ふうううん。

  • イングリッシュ・ガーデン

ここの庭園は素晴らしいの一言に尽きる。
いろんな趣向の庭が造られているが、夫々特徴があって楽しい。
花も見事だし、いくら歩いていても飽きない。
散策していた嫁さんがご夫婦らしい外人に声を掛けられた。
カメラのシャッターを押して欲しいと言う。
嫁さんは快諾。
位置を確認して「ハイ、チ〜ズ!」とか言ってる。
ご夫婦は笑っていた。
ま、いっか。

  • チップ返し

帰りのバスの中でトモコさんからお知らせ。
実は昨晩のレストランの対応が悪かったのでクレームを付けたそうだ。
例の日本人女性スタッフを捉まえたらしい。
「皆さんのチップに見合ったもう少し良いサービスが出来なかったの?」
と責めたら彼女は反省してチップを全額返して来たそうだ。
そのお金をどうしようか考えたと言う。
考えた結果、ポテトチップの小袋を買って来たので配ります、と来た。
チップ返し、と言う訳だ。
ん〜〜ん。
何だかなあ・・・。
ビールが出て来るのが遅かったのは彼女1人の所為でも無さそうな・・・。
フクザツ・・・。

空港までバスで40分くらい。
スルーガイドのおばはん、最後の挨拶をしてくれた。
相変わらずの早口で挨拶してクロージング。
「これでマイクを置きますので空港までごゆっくりどうぞ」
1〜2分後、「そう言えば・・・」と始まる。
そしてひとしきりいろんな説明をしてくれる。
で「これでマイクを置きますのでごゆっくりお休み下さい」
又、1〜2分経つとマイクを取る。
これを4回ほど繰り返している内に空港到着。
憎めない。
空港でも最後まで見送ってくれていた。
いるんだよね。こう言うヒト。
憎めない。

  • ラスト・パブ

出発まで結構時間がある。
軽く何か腹に入れても良い時間だ。
そりゃビールっきゃ無い。
空港内のパブを探す。
1軒あったが凄いヒトだ。
カウンターは戦争だし、空いてる席もほとんど無い。
嫁さんと手分けした。
カウンターで肩を押し込んでビールを買う間に嫁さんが席を確保する。
何とか成功。
最後のビターだ。
つまみは先ほどのポテトチップ、柿ピー、焼きアゴ、シャケとば・・・。
持ち込みアリかな?
シカトである。
お代わりまで飲んで完全に出来上がっていよいよ帰国だ。
非日常の暮らしももうあとわずか。
明日の夕方には日常が待っている。