コッツウォルズ地方の雑感

  • 豪華朝食

昨晩と同じレストランで朝食。
形式は完全なブッフェだ。
昨晩が喰い過ぎなので気をつけながら取って来る。
好物の目玉焼きがあった。
これを醤油と胡椒で喰うのが最高。
あとはカリカリベーコン、サラダで完璧である。
当店は全部揃っていた。
「ホシ2つ半です」はいける。

  • グロースター(Gloucester)の仕立て屋さん

グロースターの街中を観光する。
添乗員のトモコさんが小さな路地に隠れた見どころがあると言う。
ぞろぞろと付いて行く。
狭い路地は27名で完全に塞がれてしまった。
何だか小さな古びた店である。
ピーターラビットの絵本に出て来る仕立て屋さんだそうだ。
ふうううん。
お子ちゃま達が反応していたので有名なんだろう。

  • グロースター大聖堂

ここもお子ちゃまネタである。
ここの回廊でハリーポッターの撮影が行われたそうだ。
1作目・2作目に出て来るらしい。
以来急に有名になり、ロンドンから見学ツアーが来る様になったとか。
でもお子ちゃまネタで済ますには勿体無い素晴らしい所だった。
11〜14世紀のロマネスクゴシック様式の重厚な建物だ。
この地方独特の石灰岩造りなので痛みも早く年中修理しているとか。
ステンドグラス、中庭、回廊どれも見応えがある。
ハリポタ騒ぎ以来観光客が急増して教会も慌てたらしい。
急遽、寄付をお願いする事にしたそうだ。
清掃や警備を考えれば当然だろう。
事前にトモコさんから£2程度お願いしますと案内があった。
我々は朝一番の観光。
先方もまだ開店準備中だったらしく、まだ募金箱が出ていなかった。
「残念ですがラッキーと言う事にしましょう」とトモコさん。
勿論、依存有りまへん。

  • ボートン・オン・ザ・ウォーター(Bourton-on-the-Water)

有名な、あまりにも有名なアソコである。
イギリス人の心の故郷・コッツウォルズ地方を代表する街だ。
この地方独特の石灰岩「ライムストーン」で造られた家が並ぶ。
この岩の特徴は年月を経ると何とも言えない色になるそうだ。
飴色とか蜂蜜色と形容されている。
陽の当り方で輝き方が変化するそうだ。
その色をこの眼で見たくてわくわくしていた。
が、生憎の天気だ。
昨日の土砂降りは免れたが、またまた抜ける様な曇天だ。
飴色がにゃあ。
でも小さな街はキレイな小川を挟んで絵本の様な景色だ。
フリーマーケットや土産物屋を覗いて歩くだけでも飽きない。
クラッシックカーや鉄道模型、街のミニチュアの博物館もある。
が、ここまで来て景色以上のご馳走は無いと思う。

  • コテージ・パイ

昼食は小川沿いのレストラン。
勿論、ビールは欠かさない。
ビター1パイントが£2.4(約530円)。
田舎の所為かちょっと安め。
料理は野菜サラダに続いて名物コテージ・パイ。
名前からパイ生地を想像すると裏切られる。
要するにマッシュポテトオーブン焼き、挽肉のブラウンソース掛け。
なかなか馴染みが無い喰いモンだ。
例の葉山から来た丸々した天真爛漫娘曰く、
「コロッケの揚げてないヤツじゃん」
言い得て妙、であった。
今日はアフタヌーンティーが有るのでデザートはパス。
料理コンセプトが理解出来ず「ホシ2つです」かな・・・?

  • バイブリー(Bibury)

これ又、有名中の有名。
ターナーが描き、ウィリアムが詠んだと言われるバイブリー。
やはり街の真ん中をキレイな小川が流れ、全てが絵になる。
大きなマスが泳ぎ、カモが群れる。
街の中心に由緒あるスワンホテルがある。
かなり前から予約が必要な有名ホテルらしい。
ちょっとだけホテル内部を見学して来た。
フリーツアーっぽい日本人ペアが宿泊交渉中だった。
が、どうも断わられた様子だ。
小川を挟んだホテルの反対側はトラウト・ファーム。
要するにマスの養殖場でスモークトラウトは名物だとか。
ファームを覗きに行ったら入場料£3(約660円)とか。
セコさにちょっとムカついてスモークトラウトは買いそびれた。
後でトモコさん、「ビールのつまみに最高だったのに・・・」
先に言ってよ。

ボートン・オン・ザ・ウォーターと違ってバイブリーは店が無い。
トラウト・ファーム以外に売店などをほとんど見掛けない。
これが良いらしい。
何も無い、手付かずの自然。
これを求めてロンドンっ子が押し寄せるらしい。
名前も古代英語でコッツ(丘)ウォルズ(牧場の石壁)そのまま。
何でもこの辺りは石炭が取れなかったんだそうだ。
それで石炭を中心に進んだイギリス産業革命の流れに取り残された。
そのお陰で手付かずの自然と石造りの街並みと牧場が残った。
今やイギリス人の心の故郷なんだそうだ。
コッツウォルズ地方はロンドンから約200km。
日帰りも可能な距離だ。
でもちょっとした疑問が湧いて来た。。
イギリス人が皆、きれい好きだとはとても思えない。
都会や高速道路沿いはゴミだらけ。
タバコのポイ捨ても激しい。
日本と同じ科学技術全盛の時代だ。
都会人が押し寄せたらあっという間に荒廃しそうな気がする。
にも拘わらずここは不思議なくらい汚れていない。
手付かずの自然が残っている。
ナショナルトラストのボランティアが深夜清掃でもしているのかな?
本当の先進国は腫れ物を触るがごとく自然を扱えるのかも知れない。

今回のツアーの目玉の1つ。
マナーハウスの「アフタヌーンティー」に向かう。
バイブリーの街から門まで徒歩10分。
門から屋敷まで並木が続きアプローチが5分。
屋敷の回りは見渡す限りの草原。
イギリス人は「エバーグリーン」と言う言葉が好きなんだとか。
どこまでも続く一面の緑。
牧場や自然の景色が最高のご馳走らしい。
確かに芝生にひっくり返る快感はこたえられない。
必然的に都会の公園もそう言う傾向になる。
いずれにせよそれが出来る環境が羨ましい。
以前、仕事で7,000坪の緑化工事に携わった事がある。
この時に一面の芝生、最低限の潅木を提案してみた。
工務担当部署から即座に却下された。
芝生は維持が大変なので一部緑地を除いてアスファルトにしたいと言う。
心の貧しさに情け無い気持ちだったが自分の土地では無い。
どうぞお好きにと譲ったが、それくらい大変なんだろう。
この国のスケールは計り知れないと思った。

マナーハウスはどこも古臭い匂いがする。
聞けば400年前の建物だと言う。
重厚な家具・調度品も当時のままなんだろう。
勿論、総うぐいす張り。
ティールームのイス・テーブルもビンテージっぽい。
適当に4〜5人ずつ着席する。
我々もソファーセットに普通のイスを1つ足した5人席に座った。
すかさず飲んべ従姉妹2人連れが同席する。
ツアーも6日目でかなり皆の気心が知れて来たんだろう。
彼女達と嫁さんが40歳くらいの1人参加の女性を誘った。
これで世代の近そうな5人セット完了。
優雅なアフタヌーンティーが始まった。
ティーポットと各人にサンドウィッチ・ケーキ・スコーンが来た。
ジャムやクリームもたっぷり。
甘い。
オジサンにはちょっと辛い。
好きな方々はスコーンが最初から切ってある、とか批評開始。
皆、香港などの豪華三段積み菓子を想像していたらしい。
オジサンは豪華三段積みの甘いモノで無くってほっとしたが・・・。
ティーも特別に美味い訳では無かったし「ホシ1つです」かな。

  • 不可思議な退席

たわいも無い会話をしていた。
突如、1人参加の女性が立ち上がった。
イスが座り難いと言う事で離れた席に引越した。
ティーもケーキも持って行き1人でティータイム。
残った我々は目が点。
何なんだ?
何かが気づかない内に逆鱗に触れたのかな?
1人参加のストレスの蓄積が頂点に達して爆発したのかな?
周りの人達も異様な雰囲気に気付いた様だ。
不思議さ一杯。
皆が我に帰って会話を再開するまでにはちょっと時間が掛かった。
後から考えても分からない。
その後も特に接し方が変わった訳でも無い。
嫁さん達と普通に会話している。
ふうううん。

  • ホテルライフ

今日は早めの帰還。
夕食までホテルで何をするか?
テニス、プール、散策と案を出すが不成立。
結局、部屋でビールを飲み始める。
昼間買ったビールを冷やす。
気付かずに買って来たが、ふと見るとパイント缶だった。
568mlだ。
最近は旅行に行っても貪欲に動く事が無くなった。
歩き回る事も減った。
健康の為に歩いたり筋トレしたりする事は労を厭わない。
が、単純にしんどい事、疲れる事は極力避ける。
何と無く将来像が見えている。

  • 豪華ディナー

夕食は昨晩と同じパターンだ。
違いは我々だけが既に出来上がっている事。
それでも又、パイントグラスを片手に席に付く。
隣はやはり飲んべ従姉妹2人連れ。
向かいには葉山の母娘3人連れ。
お嬢さんお母さんも誘惑してビールを付き合わせる。
やっぱ飲むヒトは仲間が欲しいのである。
流石に学習機能が付いていて、料理は軽めに贅沢に取って来た。
昨晩とは違うメニューでやはり美味い。
メンツもビールも料理も会話も美味しく、豪華ディナーを堪能出来た。
昼間の不可思議彼女はレストランに最後に現れた。
トモコさんを捕まえて訊いてる。
「私はどこに座ったら良いんですか?」
やはり何かがキレたんだろうな。
いつもはどこかの家族に混じって上手にやってたのに・・・。
気心知れて来れば自然にあちこちから声が掛かるものなのに・・・。
昼間の一件を見ていたら誰も声を掛けられない。
もっともそんな事を引き摺る様では1人参加など出来ない。
それなりの根性っぴいでなきゃ。

  • 湯上りタイム

連泊は楽である。
全て勝手が分かっている。
ディナーの後はプール&サウナ。
そしてバーで氷を貰って湯上りビールだ。
サウナは昨日より混んでいた。
またまた外人の質問攻めに曝された。
今日は昨日より出来上がっているので受け答えもいい加減だ。
ほとんど酔っ払いだ。
それでも湯上りビールは美味い。
BBCテレビで日本で原発事故があったと報じていた。
珍しい日本の話に喰い入って聞いていた。
どうも長崎原爆の日に起きた原発事故を責めている論調だ。
5年前の東海村事故の話も引張りだしていた。
日本の原子力管理はどうなっているんだ?みたいな。
常々怪しいと思っていただけに反論出来ない。
が、他にも怪しい国は沢山ある。
これはイギリスが日本を非難するに値する国と見てくれた証拠でもある。
有難いと思わなきゃいかんのじゃ無いかな。
などと酔っ払いは半分寝ながら思った。
明日は今日と違って忙しいそうだ。
コッツウォルズ地方を舐めて、バース経由ロンドンだ。