居酒屋の雑感Ⅱ

  • サラリーマンの夕べ

先輩と2人で久々に居酒屋へ。
どこに行こう?
幾つかのレパートリーから結局頻度ナンバー1の店へ。
JR駅から程近い「Aさと」である。
小じんまりとした店だが2回に1回はここに来る。
先輩、大のお気に入りである。
おかみさんと娘さんの2人で切り盛りしている。
おかみさんがシェフで、娘さんがフロアスタッフ兼パティシエ。
テーブル席4卓だけの家庭的な店だ。

  • 食材

おかみさんの自慢の息子さんは水産系の学者さん。
研究の傍ら水産加工品や魚介料理の補助をしているらしい。
相模湾一帯の魚市場がフィールド。
ちょっとしたカオの様だ。
毎日、相模湾の新鮮な魚が入って来る。
野菜も地場産のピンピンしたモノが手に入る。
時々、おかみさんの故郷の栃木の食材も登場する。

  • 今日のメニュー

先輩と2人きりなので作戦が必要だ。
4〜5人居れば助っ人も頼めるが、今日は自分1人。
気合を入れて頑張らねば・・・。
先輩は基本的に喰わない。
でもテーブルが料理で埋まっていないと気が済まない。
幾つか皿が片付いてしまうと、すかさず追加オーダー。
でも喰わない。
結局、飾りだけに終わってしまう。
小市民は元来残す事が出来ない。
多少は無理しても出たものは全て喰わないと気が済まない。
作戦は何とかして残さない方策である。
お通しはコンニャク煮・マリネなど3品出ている。
まずは刺身を注文。
アオリイカ、シメサバ、マグロ赤身を大皿で盛ってもらう。
次にエダマメ、焼きナスでスペースを埋める。
更にテイクアウト可能なモノをオーダーしてお通しの皿とチェンジ。
カジキマグロのジャーキーとゴボウの唐揚げにした。
ジャーキーはオリジナルで、三崎の加工屋と契約しているらしい。
これが妙に美味い。

  • しくじり

当店のビールは嬉しい事にアサヒスーパードライ
しかも娘さんが工場の注ぎ方講座を受講して来たと言う。
完璧な生ビールである。
ビールは美味いし、料理も美味い。
でも調子に乗って一気喰いしてはいけない。
決して皿を空けないのが作戦だ。
果たして調整しながら喰っても結構ビールで腹一杯になる。
結果的に今日の作戦は失敗。
気紛れな先輩はエダマメと焼きナス以外は手を付けなかった。
小市民もこれは読み切れず、頑張っても流石に喰い切れなかった。
美味い刺身は哀れ、半分が残ってしまった。
ジャーキーとゴボウ唐揚げはテイクアウト。
これは思惑通り。

  • 顔馴染み

当店は先輩の好みを知り尽くしている。
だからこそ頻度が高い。
料理はあまり喰わないが、頃合を見て麺類が少し出て来る。
今日は小盛りの天ぷらうどんだった。
そして最後にデザート。
先輩は徹底した和風あんこモノ。
小市民はあんこ系は胸焼けしてダメなので勘弁してもらっている。
替わりにパティシエ娘さんの手製の洋菓子が出て来る。
今日も先輩にはおかみさん特性ぜんざい。
小市民にはイチゴヨーグルトにグレープフルートのトッピング。
美味い。
勿論、メニューには載ってない。
他のお客さんが何だ?あれ?と言う顔で見ている。
そんな訳でいつも居酒屋フルコースが味わえる店なのだ。

  • 修行時代

今では娘さんのパティシエぶりは堂に入っている。
数年前から研究を重ね、修行を積んで来た。
以前、修行時代にドンブリの大きさのプリンが出て来た。
見た途端、ひっくり返る。
幸い、この時は後輩が一緒だった。
強権発動である。
後輩は後で吐きそうになっていたが・・・。