気の毒な雑感

  • 「感動の再会」

今日はテレビも新聞も一日中この話題一色。
タイトルも判で押した様だ。
良く複雑な事情を調整してここまで漕ぎ着けたモノだ。
大勢の人間が大変な努力をしたんだと思う。
先日の地村家と蓮池家の「感動の再会」の時には、舞台には乗れなかった。
両家を祝福するけな気さが多くの人の心を打った。
第二幕は思いの他、早く実現出来た。
まだ先は不透明だが「感動の再会」が果たせた事は本当に良かった。
そう言えば我が家の近所にスナック「再会」と言う店がある。
この機に乗じて売上げが上がる・・・なんてこたあ無いか・・・。

  • 曽我さんの気の毒さ

勿論、一番の被害者だ。
何の罪も無い一般人が、いとも簡単に外国に拉致されたらたまらない。
他にも大勢の人が拉致されたと言われている。
消息が不明な人も多いとか。
我々も時々海外に旅行をする。
それはそれなりのリスクを伴っている。
旅先で拉致されても、殺されても決して不思議では無い。
リスクを取って旅行に行っているのである。
国内に居た曽我さん達にはそんなリスクの意識は無かったはずだ。
それだけに気の毒である。

  • 一部世代の日本人の気の毒さ

但し、今の日本ではリスクは海外と変わらないかも知れない。
いつ何時、暴漢に襲われたり、騙されたり、殺されても不思議では無い。
殺人事件報道は毎日当たり前、子供の虐待・殺人事件も慣れっこになった。
ピッキング泥、武装集団の強盗、オレオレ詐欺、リスクの種類は限りない。
海外旅行のリスクなんぞ屁みたいなモンである。
日本の治安は悪化の一途である事は万人が分かっている。
でもカネとモノには不自由しない年金食い逃げ世代は自己防衛に血道を上げる。
セキュリティにカネをつぎ込み、身を守るのに必死だ。
現在の教育制度・躾けにメスを入れ、根っこから世直ししようなどと言う気概は無さそうだ。
また、若年層はこの治安が当たり前と思って何も感じないかも知れない。
悲惨なのはなまじ昔の日本の良さを知ってしまっている世代だ。
その気の毒さは目も当てられない。

  • 日本の警察の気の毒さ

日本の警察機構は世界一と言われる。
交番の制度は世界から注目され、導入する国も多いとか・・・。
KOBAN」も世界標準語になったと聞いた事もある。
そんな日本の警察官は大変な激務だと思う。
拉致事件については、その当時の地元警察は何をしていたのか?とか言われた。
警察官の数も一家に一台じゃあるまいし、そりゃ上手の手から水も漏れよう。
世界に誇る日本の警察だって全ての権限を任されている訳では無い。
むしろ大変な仕事をやらされている割にはシバリが多過ぎると思う。
パトカーが追い過ぎたとか、発砲は過剰防衛だとかメディアはこぞって叩きたがる。
時々、警察ぐるみでの裏金作りや、ノルマ達成の為の事件捏造で叩かれる。
民間企業も同じだが、組織と言うのは全て同じ遺伝子を持ってるに決まってるじゃん。
ほとんど内部告発らしいが、たまにそう言う変異遺伝子も生まれるんだろう。
癌と同じである。
変異遺伝子を生んだ部分は切除するしか無い。
それもこれもひっくるめて日本の警察は気の毒だ。
小市民は警察官増員、重装備化、正当防衛強化に賛成である。

  • 政府与党の気の毒さ

今回の件については随分頑張った。
難しい問題だと思う。
米朝関係、南北関係、対中国・ロシア関係。
何より日朝関係は簡単では無い。
日本には恥を知らないビンテージ高官がうようよ居る。
この中での外交は容易では無いだろう。
そんな中で地村家・蓮池家に続いて、今回の様な成果を挙げたのは賞賛モノ。
本人の意思かどうかは知らないが首相も2回も足を運んだ。
良く分からない高官も足繁く通った。
大変なカネと労力を掛けて解決を図っているんだろう。
にも拘わらず、たまたまタイミングが悪い。
参院選対策で首相が訪朝したとか、暴挙だとか、腰抜け外交だとか言いたい放題。
今回もたまたま選挙の2日前に「感動の再会」が果たせただけなのに・・・。
まるで政府与党が拉致被害者を選挙の道具に使っている様に言われてしまう。
折角、メディアもこぞって「感動の再会」を盛り上げているのに・・・。
あまりにも気の毒である。

  • 周辺のヒトビトの気の毒さ

当然、周辺のヒトビトもすぐにコメントを求められる。
この舞台のキャストとしては絶対に外せない。
地村家・蓮池家は随分ホッとしただろうな。
前回の「感動の再会」の舞台でも両家は気の毒だった。
曽我さんの手前、手放しでは喜べない。
複雑な表情、コメントをするっきゃなかった。
他にもコメントを求められて気の毒な方が沢山いた。
やたら早口で過激なコメントばかり期待されてしまう人。
期待に応えたが為に逆に世論から非難を浴びてしまった。
メディアの期待に応え過ぎ選挙にまで担ぎ出される人。
皆いつの間にか、メディアの設えた舞台に乗せられてしまった。
メディアの期待する演じなければならない役割を与えられてしまった。
そんな気の毒なヒトビトに見えて仕方が無い。

  • 海外各国の気の毒さ

海外への影響も小さく無い。
きっと海外で世論を問えば極東の小さな島国の話など知る由も無い。
各国の発言を聞くと、そんな事知ったこっちゃ無いと言う本音がチラチラ。
どこも大人なので、腫れ物を触るがごとき対応だが・・・。
各国とも大人の対応をしている割には日本での評価は間尺に合わない。
結構気の毒である。
昔の事なんだから脱走兵くらい勘弁してしてやれよ。
大きいくせに器量の小さな国だ、とかトンチンカンな批判を浴びるアメリカ。
同じ民族なのに全く調整能力が無い、とヘンな民族主義を煽られる韓国。
同じ社会主義なのに、とか言われてヘンに期待される迷惑至極な中国・ロシア。
そして今回最大の被害者はインドネシアだろう。
きっと大統領選挙のややこしい最中に何だっちゅうねん、と思っているだろう。
それでも札束で頬っぺたひっぱたかれたらしょうが無いか・・・。
最大限の対応をしてくれた。
ジャカルタに素晴らしい舞台を用意してくれた。
正当な評価をされなきゃ気の毒である。

  • メディアの気の毒さ

世論を操って意気軒昂たるメディアだが、それはそれで大変だろう。
メディアと言えども1人で喰ってる訳では無い。
縦横斜めにいろんなシガラミもあろう。
シガラミになるのはカネと権力っきゃ無い。
メディアも立派な営利企業であり、そこで働くのはやはりカネと権力が欲しい人間だ。
小市民と同じ縦横斜めから圧力を受け、家族を養わなきゃならないサラリーマンだ。
自ずとメディアが目指すのは権力からの好感と高い視聴率・購読率。
勢い報道と演出の区別が無くなる。
作家・演出家がやると誉められる仕事を、彼らがやると罵倒されてしまう。
気の毒なモンである。

  • 一番気の毒なヒト

明後日は選挙だ。
我々市民が国の権力を選ぶ。
市民に選ばれないと権力は握れない仕組みになってる。
企業も消費者・市民が生かしてやっている。
市民が全くそこの商品を買わなければ、企業は死ぬ仕組みになってる。
本当はカネも権力も市民の手中にある。
市民は報道を歪める様なメディアを殺す事だって出来るはずだ。
そんな事をまともに考えたら生き難い。
ところで、今回の舞台の為にいったい幾らおカネを使ってるんだろう。
取材費用だって莫大なはずだ。
曽我さんがこの莫大なカネをかけた舞台を望んだとは思えないが・・・。
♪良〜く考えよ〜。おカネは大事だよ〜。♪
政府が使うカネは勿論、税金だ。
メディアが使うカネは広告収入、つまりは商品価格に上乗せされ消費者が支払うカネ。
結局、小市民がカネを払ってこの舞台を見ている訳だ。
そんな風に思ってしまう小市民は一番気の毒かも・・・。
ま、いっか。