世代問題の雑感Ⅱ

  • 奥様のお仕事

以前、居酒屋でおもろい話が出た。
たまたま居合わせたのは、小市民と上下にほぼ10歳違いの3人。
上はど団塊の先輩である。
下は結婚して4〜5年の後輩。
先輩が家での奥様の働き振りを話し始めた。
どうやらご主人が帰宅すると三つ指ついてお出迎え、と迄は言わないが近いと言う。
夕飯は摂ろうが摂るまいが、必ず用意して待っている。
ご主人の下着から靴下から全て揃えてお風呂に入って貰う。
朝は着てゆくスーツ、ネクタイ、ハンカチまで全て揃えてある。
スーツの徽章、ポケットには定期券・名詞入れがいつもの場所に。
そして財布にはいつも定額のお金が入れてある。
減っていたら足しておくのが奥様の当然のお仕事だそうだ。
小市民はひっくり返った。
なっ、なっ、なっ、何じゃそりゃあああああっ!
「たまに財布に金を足し忘れたりして、しょうがねえんだ」と先輩は涼しい顔。
この人、奥様が居なくなったら生きて行けるんだろうか?
後輩はもっとひっくり返った。
「テレビの時代劇の話みたいっすね」
分からないでも無い。
彼の家は、毎朝、布団の中から「行ってらっしゃい」だそうだ。
駅に行って立ち食い蕎麦が朝食とか。
それはそれでなあ〜。
後日、他の先輩に聞いたら、同じ様な生活パターンだと言う。
へ〜、へ〜、へ〜である。
何が丁度良いのか分からないが、違うものである。

  • 傘と横並びの話

聞いた話である。
通勤通学の途中、周りが見えない世代があるとの事。
例に漏れず、団塊とそのジュニアだと言う。
典型的な例は傘の持ち方だとか。
この特定の世代は無意識で傘を振って歩くのだそうだ。
言われてみれば・・・。
確かに良く傘の中ほどを鷲掴みにして、ブンブン振って歩いている人を見かける。
後ろを歩いていて蹴飛ばしてやりたくなる。
もう一つの例は並列歩行だと言う。
確かに・・・。
それらしき世代のサラリーマンが、良く歩道一杯に広がって歩いている。
後ろからチャリンコがベルを鳴らしたりするとしぶしぶ道をあける。
が、すぐ又広がって四方山話だ。
横並び志向はこの世代の特徴だそうだ。
加齢とともに保守的になるのは人情として分からなくは無い。
でもジュニアの世代は呆れ返る。
どうしたら、この年代から隠居暮らしを志向出来るのか?

  • タバコの話

歩きタバコが多いのも特徴だ。
タバコはご丁寧に排水溝の穴に投げ捨てて行く。
この排水溝の穴と言うところに、ポイ捨て確信犯の臭いがする。
とても陰湿で狭量な、いや〜な感じがする。
1年前まで愛煙家だった小市民も大きな事は言えない。
ポイ捨ては絶対にしなかったが、歩きタバコは覚えがある。
今にして思えば多くの人に迷惑を掛けていたんだろうなっと思う。
おもろい事に会社でタバコを吸う人の年齢は、30歳近辺に集中する。
後輩であれば元気いっぱい言える。
一度、道端にポイ捨てした後輩を怒鳴りつけた事がある。
慌てて拾ってポケットに突っ込んでいたので気の毒であったが・・・。
以来、少なくとも小市民の前ではポイ捨てはしない。
携帯灰皿を買ったらしい。

  • 新聞記事

先日と同じ新聞のコーナーがあった。
今日は「団塊の世代」の命名者、堺屋太一氏のインタビュー記事だ。
68歳の氏は団塊の世代の次の世代について語っていた。
団塊の世代は横並び志向で生きるスリルを味わえなかった世代と断じている。
世代問題としては、今新たな断層が生まれつつあると言う。
それは「成長を知らない世代」だそうだ。
この世代がどんどん社会に根を張りつつある。
1980年生まれを境に価値観が全く変わったと言う事らしい。
高度成長もバブルも知らず、ネガティブな話題の中を生き続けた世代。
浮き足立つ事も無く、地に足の着いた価値観を求める。
企業に就職しても、納得の行かない仕事はしたく無いと公言して憚らない世代。
堅実と言うか、醒めてる世代と言うか・・・。
上司は大変だと言う。
なるほど・・・と思った。
団塊の世代の子供は、全てが団塊ジュニアと言う訳では無いのだ。
遅い子供であれば、堺屋氏の言う「成長を知らない世代」もあり得る。
際どい線ではあるが、質は全く違う様だ。
氏曰く、いずれにせよポスト団塊世代は逃げ場が無い。
団塊の世代に遅れて住宅ローンを組み、バブル崩壊の憂き目を見た。
その後はITバブルの崩壊にも立ち会った。
今後は社会に大量放出される団塊の波をかぶり、後ろにも大きな断層がある。
どうせ逃げ場が無いなら、精一杯スリルを楽しんだらどうか、と氏は結んでいた。
高みにあればこそ言えるセリフという気がしないでも無いが・・・。