エクス・アン・プロヴァンス〜アルルの雑感

  • アメリカン・ブレックファースト

大体朝食はこのパターン。
ブッフェ形式で十分満足出来る。
フランスの様な文化圏では無関係だが非常食にも役立つ。
どこでもクロワッサンとゆで卵くらいはゲットして置く。
後はあればバナナだ。
昼食や夕食で思いっ切り外した時には助かる。

  • ジプシーの洗礼

エクスの街並みは徒歩観光。
街の外れでバスを降り、現地スルーガイドと待合わせ。
なかなか威勢の良いおばちゃんだった。
早速「ミラボー通り」に向けて歩き出す。
その時、突然女の子が2人地図を持って近づいて来た。
1人の子が目の前に地図を押し広げ何やら言っている。
当然、何を言ってるか分からないのでお手上げのポーズをする。
でもその子はシツこく地図を押し付けてギャーギャー言ってる。
その時はっと気付いた。
慌てて目の前の地図を払い除ける。
案の定、スリだ。
もう1人の女の子がウェストポーチのファスナーを開けていた。
直ぐにポーチの中を調べる。
まだ何も盗られていないのを確認出来た。
2人は逃げる様子も無く道路っ端に座ってニヤニヤしている。
朝一番の眠気が吹っ飛んで、頭に血が上った。
思わず殴り倒してやろうと思った。
が、相手は女の子だ。
手を上げられないのが小市民だ。

  • 古典

周りに居た同行メンバーが騒ぎ出した。
「警察を呼んだ方が良いんじゃ無いか」
「まず添乗員さんに言った方が良い」
そこに現地スルーガイドが飛んで来て「どうしました?」
この段になって2人の子は逃げて行った。
スルーガイドの顔を知っているのかも知れない。
状況を話すと「殴り倒しても良かったんですよ」とか。
「警察も誉めてくれますよ」だって。
へええ〜〜〜っ。
フランスは今、ジプシーが増えて問題になっているらしい。
この手口は「古典」なんだそうだ。
今やもっと巧妙な手口が沢山あるとか。
そんなのスキだらけの顔だったのかなあ?
そうは思わないが、気を引き締める。

  • エクス

長ったらしいからだろう。
皆エクスと呼んでいた。
町の名前の由来は2,200年前のローマ時代に遡るらしい。
泉や噴水が多い事で知られるかつてのプロヴァンス伯爵領の首都。
何ともムードのあるお洒落な街だ。
セザンヌが生まれ、没した街。
何と無くそれだけで絵になりそうに思ってしまう。
実際、絵になる。
ミラボー大通り」「大聖堂」「市庁舎」などを散策しながら観光。
プラタナス並木にカフェやギャラリーが並ぶ。
パリの「シャンゼリゼ大通り」を造る時にここを参考にしたとか。
でも観光も上の空。
さっきのスリを思い出してだんだん腹が立って来た。
このオレが狙われた?
他の誰でも無い。このオレが?
結構、プライドが傷ついた。
平和ボケか?

エクスの郊外に出てセザンヌの道「ル・トロネ」を進む。
バスの車窓から石灰岩の岩山が見えて来る。
セザンヌが好んで描いたと言う「サント・ヴィクトワール山」だ。
山を右手に更に進めると質素なアトリエに到着。
小さなアトリエを入れ替え制で見学する。
待ち時間は広い庭を散策出来る。
中は生活の臭いがそのまま残ってリアルだ。
好きな画家の1人でもあり、結構しみじみした。

  • 昼食

付き物のビールは250mlで2.5ユーロ(約300円)。
料理はキノコサラダ、チキン、ラタトュユとパスタ。
デザートはリンゴタルト。
まずまず美味しかった。
流石にフランスで食事の心配は無用かも・・・。

  • 車中の四方山話

旅の楽しみの1つは添乗員の話。
バスの移動時間などを利用して聞けるいろんな話がおもろい。
添乗員のジュンコさん、今日は仏土産と簡単仏語講座。
プロヴァンスの代表的土産はラベンダー製品。
後はマルセイユ石鹸、見た事あるなあ・・・。
カリソンと言うアーモンド入りの白い落雁みたいな菓子。
サントン人形と言う郷土人形も有名だそうだ。
仏語は忘れた。
が、道中で耳に残っている言葉は幾つかある。
「サヴァ?」多分「やあ」みたいな。
「ボナペティ」多分「召し上がれ」
「セボン」トイレを思い出すが、多分「美味い」
「トレビアン」芝居じみたイメージだが多分「いいね」くらいの軽さ。
「エクスキュゼモア」分かり易い「済みませんが」
「シルブプレ」これだけは知っていた。
何でも指差して「シルブプレ」で用が足りる。
フランス人は知っていても英語は分からないフリをすると聞く。
良い根性してるじゃあねえか?

かつてこの地に栄えたボー家の廃墟、「レ・ボー城」跡だ。
ハーブやラベンダー製品の土産物屋が並ぶ。
覗いてみるとエッセンスなどが結構安い。
嫁さんがぜん張り切ってお買い物。
この後「ドーデの風車」と言うのも見た。
風車だった。

ここが今回のフランスツアーで「N通」を選んだ大きな理由だ。
他社の周遊ツアーはここに寄らない。
ここは昔からのイメージが出来上がってしまった場所の1つ。
どうしてもこの眼で見たかった。
写真や映像で見ていてもどうしても見たい所って幾つかある。
サグラダ・ファミリア」「サン・ピエトロ大聖堂」「アランブラ宮殿」
などかなり征服した。
が、まだこのままでは死んでも死に切れない
ケルン大聖堂」「サンティアゴ・デ・コンポステーラ
アドベンチャー系もまだある。
「ピラミッド」「アブシンベル神殿」「アンコールワット」など。
今日又1つ夢がかなった。
どうでも良いが何なんだ、この暑さは?
駐車場から橋まで20分くらい歩く。
大勢の観光客が溶けそうな暑さの中、ダラダラと歩いている。
見学時間は短い。
橋まで行って、写真撮って帰って来るくらいだ。
走る。
橋を渡って、反対側の山の上まで登って上から橋を見たい。
嫁さんは橋の途中でリタイア。
やはり凄い。
高さ48m、長さ275mもの水道橋が紀元前19世紀に造られた。
信じ難い威容だ。
全身汗みどろで見学した甲斐はあった。

  • 「アルルの跳ね橋」

あまりにも有名なあの橋。
田舎の小川にポツンとある。
この辺りはゴッホの名画の看板が随所にあるそうだ。
絵と現物を見比べられる趣向らしい。

  • ホテルライフ

今日の宿泊は「メルキュール・アルル・カマルグ」
リゾッチャホテルっぽい。
流石に夕食は大きなビールがあった。
500mlで5.2ユーロ(約600円)。
メニューはレバーテリーヌ、タラフリット、デザートはプラムパイ。
美味しい。
嫁さんはレバーがダメだ。
全体にこってり系だが美味かった。
玉にキズはイス。
メインレストランでは無く、コンベンションルームで如何にも急作り。
しかも団体用予約席がズラっと並んだ端っこ。
イスはどっかから持って来た折りたたみパイプイス。
これは許し難かった。
イスは座るヒトを象徴する。
如何にもお前達日本人はこんなモンだ、と言ってる風に見える。

  • テニス

食事しながら窓の外にテニスコートが見えた。
何かの拍子にテニスの話題になった。
何だか突然のノリでテニスをする事になった。
実は私もテニスをするんです、実は私も・・・みたいな。
ヨーロッパの夏の夜はなかなか暗くならない。
テニスくらいいくらでもOKだ。
ジュンコさんがラケットとボールを借りて来てくれた。
テニスキャリア30年のおじさんとクラブに入ったばかりの小娘が参加。
キャリアおじさんは流石に安定感が有る。
ラリーがなかなか切れない。
小娘のトレーニングも良い運動になる。
あちこちに走らされるから・・・。
いやあ、思わぬ所で良い汗がかけた。
シャワーを浴びてラウンジにビールを飲みに行く。
く〜〜〜っ。たまんねえ。
500mlを2杯ずつ飲んで帰還。
明日はアルル市内観光とアビニョン観光の後、TGVでリヨンだ。