癌スケ追撃 44日目
・放射線やけど
みんなに言われる。
「軽く済んでますねー。」
「ひどいヒトは、ビラビラに皮剥けてますよ。」
個体差が大きいらしい。
「やっぱニンジンジュースか!」
痛みもまったくない。
っつか、痒い。
夜中に痒くて、つい掻いちゃう。
それで皮剥けてる。
「日焼け程度って事かな?」
もう1つ気がついた。
クビの周りって、元々感覚がなかった。
リンパ郭清で切り刻んだから、神経がズタズタ。
触っても感覚ゼロだった。
「んなモン、痛い訳がにゃあで!」
ただ、突っ張り感だけはある。
クビ全体がコルセット状態。
これに、菅ちゃんが連動。
一緒になって、きゅーっと絞まるような…。
「これが一番の問題だで!」
〈そら〉
・バクチ
何となく退院が見えてきた。
その後の段取りを考えたくなる。
「ちょっとゆっくりしたいなー…。」
散々、ゆっくりしてんじゃ!
ちゃう!
治療がひと段落しての、ゆっくり!
味覚も、唾液も元に戻って。
摂食治療もなし。
闘いを離れて、ゆっくり…。
「温泉でも行きてー。」
嫁さんから素早い反応。
「温泉、取れるよー!」
へ?
じゃ、とりあえず予約しよーか。
一泊二食。
「テニスも出来るよー!」
へ?
走れるだか?
「よっしゃ!やるベーじゃ!」
ま、退院は出来るべ。
あと、回復の具合がどーか?
せっかくの懐石料理。
味覚と、唾液が回復してなかったら悲惨。
「そん時は、手つけずに帰るべ。」
トラウマにしたくない。
病院のメシと同じになっちゃう。
「大バクチだで!」