癌スケ襲来

・後始末

 今日が最後。

明日からしばらく職場離脱。

いろいろ考えて、準備はしてた。

引き継ぎの段取りは整えた。

ま、完璧じゃないけど始末は終わった。

「とりあえず仕事が滞る事はないべ。」


 ま、心配には及ばない。

何とかなる。

ちっちぇえ歯車の1つだに。

代わりの歯車はいくらでもある。

ゴタゴタするのは最初だけ。

その内に慣れる。

「余人をもって代えがたい!

送別会専用の決まり文句だで。


 そもそも、とりあえず定年を迎えた。

還暦だで。

もうそれほど脂っこくにゃあ。

ガツガツする気は毛頭にゃあ。

後は少しでもお役に立てば‥‥。

お礼奉公みたいな。

「それがとんでもないお荷物になりそうだで‥‥!


f:id:maosuke1225:20160411070702j:image〈総合公園のさくら〉

 

・日常

 どんだけ有難いか。

フツウに暮らせること。

フツウに仕事出来ること。

その有り難さなんて、わかんないよなー。

「遊びに行くなら、非日常を味わいたい!」

なあんて言ってたじゃんか!

今となれば、良くわかる。

フツウってホンットに幸せなんだ。

「勝手なこと言ってるよなー!」


 会社のボスに状況を話した時は、ボスもびびった。

でも、その後手を尽くしてくれた。

「仕事の事はさておき、治療に専念して下さい。」

とは言ってくれたけど、逆に頼んだ。

「我が儘言って申し訳ありませんが、可能な限り出社させて下さい。」

本心だった。

「日常から離れてしまうと、心が折れそうなんですよ。」


 ボスは理解してくれた。

勤務先を地元H塚市の事業所にしてくれた。

モバイルパソコンも手配してくれた。

単身赴任先撤収のために、引越屋の手配まで‥‥。

全て社長の了解を取ってくれたそうな。

有難いこって。

「せめて身障者雇用率で貢献するっきゃないなー。」


f:id:maosuke1225:20160411070818j:image〈総合公園のさくら〉


・さくら

 毎年、咲いてくれる。

日本人で良かったーって思う。

でも、毎年感慨が違う。

笑い、緊張感、希望、悲哀‥‥。

社会全体が新陳代謝する。

当然、個人の日常もいろいろ刺激を受ける。

「そーゆー時季なんだよなー。」

今年のさくらは‥‥。


 H塚事業所に向かった。

途中、さくらの名所、総合公園へ。

今年のさくらは、天気に恵まれない。

やたら早く開花。

その後、寒気で足踏み。

雨も多い。

あんまし、愛でてもらえてない。


 今日は何とか陽が射してる。

今までで一番いいかも。

見物人も多い。

ランニングする人、散歩する人‥‥。

みんな、それぞれにさくらに眼をやる。

「ちっきしょー!みんな、いいなーっ!」


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