癌スケ襲来
・結婚記念日
長~~い1日だった。
そして、濃い~い1日だった。
3月14日。
結婚記念日だで。
ホワイトデーでもある。
「そっちの方が、後だったような気がする…。」
せっかくの記念日。
美術館でも観て、旨いもんでも喰うか。
ってんで、予約してあった。
それが、ドタバタに。
えりゃあ、結婚記念日になった。
午前中、H塚市民病院へ。
内視鏡検査を指示されてた。
とんでもにゃあ!
「何が嫌いって、あ~たっ!」
30年ほど前に、1度受けた事があった。
死ぬかと思った。
その時は、豪語してた。
「あんな辛い思いするなら、死んだ方がましだ!」
Dr.Y山に頼んだ。
鼻からの内視鏡で、出来ないか?
「ありますけど、何か見つかれば、もう1度口からやる事になりますよ。」
へ、そーなの?
次の手は、ペンタジン。
最近は、どこでも使ってくれるらしい。
検査室で、スタッフに頼んだ。
「今日は、付き添いの方はいますか?」
いや…。
「当院は、付き添いがないと使えません。」
えーっ!
そんな…。
ぐえ~~っ!ぐえ~~っ!
七転八倒…。
・襲来
疲労困憊。
這うようにして、耳鼻咽喉科外来へ。
Dr.Y山が待ってた。
厳しい表情‥‥。
「先週の生検の結果が出ました。やはり、悪いモノでした。」
え?
やっぱ、癌スケ?
「そうです。」
「ちっきしょーっ!来やがったなーっ!」
「治療法は3つあります。手術と、放射線と、抗がん剤ですが、お勧めは手術です。但し、ここではマンパワーが足りませんので、もっと大きな病院を紹介します。」
呆然と聞いてる。
言うべき言葉が出てこない。
「手術は、ノドの悪い部分をごっそり取ってしまいますので、腸管の一部を切り取って移植し、食道の代わりにします。失声します。気管はノドに穴を開けて確保します。」
はあ~~っ?
何じゃ、そりゃあっ!
茫然自失。
まるで、現実感がにゃあ。
「すごいですね‥‥。」
ヒトゴトかい?
「まあ、今ここで決めろとは言いません。後日、ご家族と一緒に詳しく説明します。」
それまでに、良く勉強しろ。
良く考えろ。
ってな事らしい。
説明は、3月18日に決まった。
〈ダ・ヴィンチ展〉
・ダ・ヴィンチ展
江戸東京博物館で開催中。
この前、テレビでも放映された。
この特別内覧会チケットが、手に入った。
展示は、結構地味。
未公開の手稿とか、素描とか‥‥。
何せ、ダ・ヴィンチの作品って少ない。
根っから、飽きっぽいヒトだったらしい。
「天才って、そーかも‥‥。」
日伊国交樹立150周年記念。
72作品を一挙公開。
ファンには堪らないべな。
でも、ダ・ヴィンチ自身の作品は8点。
後は全部弟子とか、身内とか‥‥。
所蔵も大半が1ヶ所。
ヴィンチ村の、「レオナルド・ダ・ヴィンチ理想博物館」。
はは~ん‥‥。
理想博物館が、改修工事に入った。
「工事する時は、日本に貸し出せ!」
世界の常識だって‥‥。
とっても、混んでた。
加えて、昨今の質の劣化。
とても美術鑑賞って雰囲気じゃない。
ヒトを押しのけて、前に行く輩。
観てる作品の前に、ずかずか入ってくる輩。
作品にかぶり付きで、離れない輩。
「字が読めるんかい?」
ま、いっか。
気分的にも、芸術に没頭出来ないし‥‥。
早々に引き揚げ。
・【星が岡】
お久しぶりっ。
結婚記念日ディナーはここ。
楽しみにしてた。
るんるん🎵だった。
つい最近までは…。
そうそう世の中、いい事ばっかじゃない。
月にむら雲、花に風。
今日は、感慨深いディナーになった。
しばらく、喰えにゃあ。
下手したら、2度と喰えにゃあ…。
いつもの通り、客は多くない。
我々の近所に、ちょっと浮世離れした一団。
「どー見ても、カタギじゃにゃあな…。」
大声で、ガハガハやってる。
店のスタッフもちやほやしてる。
「見事な腰巾着ぶりだで…。」
ま、関係ない。
我々は、オーダーだけちゃんと届けてくれれば…。
ま、とりあえずビール。
手を挙げたら、腰巾着が飛んで来た。
ビールの間に、ワインを選ぶか…。
ワインが、大して載ってない。
食事メニューの最後にチョロチョロ。
チリとか、カリフォルニアとか…。
腰巾着に訊いてみた。
「もっと他にワインないの?」
ないと言う。
「マジかよ…。この店で、このワインはにゃあで。」
・サプライズ
しょうがない。
ビールで通す事にした。
前菜、登場。
美的にとってもキレイ。
見た目だけじゃにゃあ。
味の繊細さは、他に比類がない。
「やっぱ、旨いなー。中華の域を超えてるで。」
量もちょうどいい。
もう、がっつり喰うトシじゃにゃあ。
「あー、幸せだー!」
フカヒレスープ、エビチリ、牛肉、棒々鶏、青菜炒…。
上品で、繊細で…。
どれも、これも旨いっ!
「これぞ、【星ヶ岡】の味やね。」
そして、〆の焼きそば。
デザートの杏仁豆腐も絶品だった。
「いやー、満足した。」
惜しむらくは、ワイン。
美味しいワインがあったら、完璧だつたのに…。
ここでサプライズ。
ケーキ登場。
ここんちのペストリーブティック謹製。
「結婚記念日、おめでとうございまーすっ!」
おーっ!
そんな事するんだー。
腰巾着が、写真まで撮ってくれた。
嬉しいっ!
いい思い出になった。
帰りがけ、ひと言。
「とっても美味しかった。もうちょっとワインを揃えてくれたら、もっと良かった。」
黒服が、えっ?ってな顔。
「お申しつけ下されば、ワインリストがございます。上のバーから取り寄せます。」
リストを見せてもらった。
すんごい種類だった。
「何だよ、教育不足だなー。」
ま、次回来る時の楽しみだー!
〈キャピトル東急アレンジ〉