小市民のブルマニア旅行記 3

ビエルタン
 朝メシは、ブッフェ。
結構、豪華なブッフェだった。
ただ、残念ながら卵料理コーナーはない。
「出来れば、目玉焼き喰いてゃあ。」
無い袖は、ノースリーブ。
腹八分目で、出発。
今日は、更に北の世界遺産を目指す。
相変わらず、バスからの景色もご馳走。
何とものどかな風景。
「如何にも農業がベースと思わせるで。」

 「これがホップの畑です。」
っと、あつしさん。
「ほーっ!初めて観た!」
すごい高さに育てるんだー。
あつしさんの、いろんな話もご馳走。
苦労人ならではの、面白さがある。
ルーマニア人って、基本ラテンです。」
仕事っ嫌いって意味らしい。
「考えてみりゃ、ローマの国だで。」
古代ローマの支配下だった。
でも、人種のルツボ。
トランシルバニアは、ゲルマン系。
かなり堅いそうな。

 ビエルタン要塞教会に到着。
この地区には幾つもの要塞教会がある。
「不安定な社会だったんだべなー。」
保存状態がすらばしい。
中世の建物と思えないくらい。
一つの丘が丸ごと要塞になってる。
城壁には銃眼が穿たれ、如何にも要塞。
中には立派な教会がある。
いろいろ観どころ満載。
マニアックな19の鍵つきドアとかがあった。
「これ、1900年のパリ万博に出展されました。」
ほーっ!

 面白い小屋があった。
「これは、何の為の小屋でしょう?」
クイズだで。
みんなで覗いてみた。
ふつーに生活出来そうな小屋だった。
等身大の男女の人形とかがある。
「はて‥‥?」
種明かし。
「これは、離婚しそうな夫婦を監禁する小屋です。」
家具も、食器も、1つずつしかない。
二人で何とか工夫するっきゃない。
「なある‥‥。」

 あつしさん曰く。
「この辺りは、養蜂業が盛んです。」
安くていい蜂蜜が手に入る。
「今はアカシアの蜂蜜がオススメですよ。」
城門の脇で小っちぇえ店を出してた。
マヨネーズくらいの大きさで、20Lei 。
高いのか、安いのか‥‥?
「そりゃあ、安いわよ!」
っと嫁さんも乗り気。
「じゃ、土産用にすっか。」
売店、Soldout。

シギショアラ
 中世の雰囲気そのまま。
シギショアラ歴史地区世界遺産
徒歩で観光開始。
街が出来たのは、900年前。
以来、ずーっとそのまま生活が繋がってる。
「それって、すげーなー‥‥。」
街の中心に、時計台がある。
高さ64m 、14世紀に造られたそうな。
からくり時計。
毎正時に、人形が出てきて踊る。
「ま、街のシンボルやねー。」

 ここにも立派な教会がある。
山上教会。
ホントに山の上。
180段ばかりの階段を登る。
学生階段って言うらしい。
何故か屋根が付いてるのが、面白い。
「あら、又雨が降ってきたで!」
とりあえず助かる。
又、どしゃ降りになった。
「何だ、ルーマニアって雨が多いだか?」

 さすがに、屋根は教会まで繋がってない。
「え~~い!行っちまえっ!」
教会までダッシュ。
でも、そこそこびしょ濡れ。
中に飛び込むと、キレイな讃美歌が‥‥。
「うわっ!めっちゃ巧いなーっ!」
どっかの大学生らしい。
レコーディング中だとか。
雨宿りがてら、堪能させてもらった。
「何か、得した気分。」

 雨が上がって、下山。
昼メシの時間になった。
今日の昼メシは、ドラキュラの生家。
正確には、ドラキュラのモデルの生家。
ヴラド・ツェペシュ」の家。
今はレストラン。
早速、ロコビア、500ml で10Lei 。
まず、ラタトゥイユサラダ。
続いて、ポークシュニッツェルとポテト。
まずまず美味しかった。
☆2つイケる。

・サスキズ
 しばらくフリータイムを満喫。
中世の街を散策。
土産物屋が沢山ある。
基本、イコン、人形、飾り物‥‥。
あんまし食指が動かない。
写真だけ、沢山撮って来た。
次の観光は、サスキズ要塞教会
やはり14世紀に造られた。
当時のまま残されてる。
堅牢頑固。
「どんだけ、オスマントルコが恐かっただか‥‥。」

 ここが観光出来るようになったのは最近。
尚更、そのまま感が強い。
ロコガイドも用意した。
17歳のギャルだった。
清楚で、真面目そうで、英語が出来る。
「きっと選ばれた存在なんだべ。」
お土産コーナーも整備されてた。
ルバーブ、ニワトコ、ベリーなどのジャム。
「オススメはルバーブ(フキ)ジャムです。」
っと、あつしさん。
残念ながら、フキは売り切れだった。
「じゃ、珍しいとこでニワトコ。」
重たい土産物が増えた‥‥。

・バラマキ
 ブラショフへ帰還。
道中、いろんな話を聞いた。
ルーマニアはどんどん良くなってる。
革命前とは雲泥の差。
前は、テレビで流れるのはチャウシェスクの演説のみ。
誰もテレビなんか観なかった。
みんな、本を沢山読んだ。
マグマは、じわじわと貯まってった。
でも、一時はチャウシェスクは英雄だった。
いい事も悪い事も含めて、国を引っ張った。
でも、'77の大震災で大打撃。
暗い日々が続いた。
経済を建て直す事が出来なかったそうな。
「栄枯盛衰やね‥‥。」

 質問が出た。
「何か、軽くて喜ばれる土産物はない?」
あつしさんのオススメは、菩提樹茶。
ティーバッグだから軽いし、風邪にいい。
値段も、4~5Lei 。
「バラマキは、これでいいかも‥‥。」
ブラショフに着くと、ドラッグストアへ。
訊いてくれた。
「10個だけあるそうです。お一人1個でお願いします。」
あぶれ組は、次の店へ。
「1個手に入れば、後は何とかなるべーじゃ!」
集団を離れて、ドラッグストア物色。
飛び込むと、英語が通じた。
「ラッキー!これと同じの20個くいよー!」
バラマキ土産完了!

フォークロア
 立派なレストランだった。
ショーを観ながら、ディナー。
すぐ横で、民族衣装の男女が団体で踊りまくる。
「ホコリがすげーだろうなー‥‥。」
なんて思っちゃいけねえ、いけねえ。
掛け声もすげー。
「ホイっ!ホイっ!ホイっ!ホイっ!」
「ひぇー!ひぇー!ひぇー!ひぇー!」
耳に残る‥‥。
ま、面白かった。

 ディナーの方は‥‥。
まず、ロコビア、500ml、10Lei 。
「どこで飲んでも、ビール旨いなー。」
ワインはサービスだった。
赤でも、白でもお好きな方を‥‥。
「当然、両方飲みてゃあじゃ!」
料理は、まずポークスープ。
次いで、白身魚のフリット茹でポテト添え。
デザートがホイップクリーム。
う~~ん、☆1つ半。

 ショーも終わった。
みんな、デザートに向かってる。
やおら、あつしさんが立ち上がった。
一曲歌ってくれるらしい。
店の衆は心得てて、カラオケを流す。
「おーっ!トゥーランドットだ!」
すげー声だった。
朗々と店中に響きわたる。
さっきの踊り子たちも聞き惚れてる。
エンディング!
万雷の拍手っ!
「すげーっ!ホンモノだでっ!」
いやあ、思い出深い夜になった。