まおの食欲の雑感72

  • 変調

 おかしい。
お坊ちゃまの様子がおかしい。
手足にチカラが入らないみたいである。
歩くのもしんどそうに見える、
何だべ?
 後ろ足が特におかしい。
何だか自由が利かないようである。
いつもの自分の定位置に上れなくなっちゃった。
ベッドはもちろん、カウチもマッサージチェアもダメ。
他力本願のカオで待ってる。
なかなか気づいてくれないとキレる。
「わんっ!」とか言う。
 どうしたんだべ?
神経痛か何かだべか?
嫁さんが座布団をあるったけ引っ張り出した。
座布団で階段を作って自力で上がらせる作戦である。
ちょいとお尻を押してみた。
お坊ちゃまはバックしてくる。
ダメだ、こりゃ・・・。

  • 強制給餌

 嫁さんの腱鞘炎は治る気配がない。
近所の整骨院に通ってる。
強制給餌なんてトンでもない。
可能な限り仕事から帰ってから引き受ける。
お陰様で大分、慣れて来た。
 お坊ちゃまも心底嫌いな訳じゃない。
むしろ、もともとはハンパじゃない喰いしん坊である。
処方食の缶詰を上あごにくっ付ける。
するとぺちゃぺちゃ喰うのである。
何だかんだ、十分なカロリーは与えている。
 んにもかかわらず、体重が増えない。
着実に減ってる。
遂に7kgを切ってしまった。
服を着てるからわかんないけど、ガリガリである。
何だべ・・・?

  • キャリーバッグ

 嫁さんが秘密兵器を手に入れた。
ショルダー式のハンモックキャリーバッグである。
お坊ちゃまをズタ袋みたいなのに入れてベルトで固定。
後はよっこいしょっとタスキがけにする。
これなら腱鞘炎の手首を使わずに済む。
 「ドクターF沢」も苦笑い。
「遂にキャリーバッグになっちゃいましたか・・・」
痩せちゃったとは言っても7kg。
クタクタ状態だとますます重い。
抱っこしたまま、クルマを出し入れしたり・・・。
嫁さんには辛い。
ま、しゃ〜ない・・・。

 どうやら手足の間接のリンパ節が腫れてきたとか・・・。
素人にはほとんどわかんない。
ドクターが触診するとやっぱわかるらしい。
首筋のはわかり易いんだけど・・・。
 「抗がん剤はやりたくないですねえ・・・」
腎機能も落ちてるし、何より貧血傾向が強い。
出来るだけ咳を止める事に専念したいという。
そんな訳でステロイドの投与を始めた。
抗がん剤よりは弱いし、咳止めにもなりますから・・・」
得意の万能薬である。
 何とかフツーに過ごさせたい。
奇跡が起きないとも限らない。
でも、奇跡ってえくらいだからなあ・・・。
それでも何でも、日常生活をフツーにさせてやりたい。
しんどい思いはさせたくない・・・。
何とか・・・。