中華料理屋の雑感17

  • カオ

 なかなかえらそーである。
ほぼ、我が家のキッチン状態。
駅前の「Wンズ」である。
あれこれ言いたい放題。
先方も痛し痒しだべなあ・・・。
 今日も店に入ると4人の若い女衆がいた。
例に漏れずタバコなんか吸ってる。
いつものお姉さんが笑顔で迎えてくれた。
「お好きな席にどうぞ」
「煙くないとこがいいんだけど・・・」
「じゃ、一番奥がいいかと思います」
階段下のスペースだった。
「何か、アナグラみたいだね」
「もし、ここでも煙かったら仰って下さい」
 何だかなあ〜っ。
でも、空気の流れが良かったのかあんまり煙くない。
ったく・・・。
タバコなんか吸うんじゃね〜よ!

  • カスタマイズ

 タバコの次は味付けである。
あれこれ言いたい放題。
そもそも最初は薄味が気に入って通い始めた。
なのに、だんだんしょっぱくなって来た。
よっぽど濃い味好みの客が多いんだべか?
 ここんとこ、ほぼ隔週で通ってる。
中華料理って言ったら他の店が思いつかない。
つまり他に選択肢がない。
それなら素質のあるところに通ってカオを作ろうって魂胆である。
それから好みの味にカスタマイズである。
 今日も、念入りに打ち合わせ。
「いつもうるさくて申し訳ないんだけどさ・・・」
「はい、何でしょう?」
「前回より更に思い切って薄味でお願い出来る?」
「わかりました」

  • 定番

 季節のメニューも登場する。
壁の黒板に旬の食材を使ったメニューが書いてある。
何か1つは取ってみたい。
季節は春。
やっぱ、菜の花とタケノコだべさ。
 【菜の花のシンプル炒め】
得意技のパイタン塩味ベースである。
あっさり、軽くて素材の香りがちゃんとわかる。
やっぱ、こうでなくっちゃ!
 後は定番メニューである。
 【カニ豆腐】
これもパイタン塩味。
あっさり、さっぱり、お腹に軽い。
ビールのつまみにもいい。
薄味だと、干し海老やホタテなんかの香りまでちゃんとわかる。
やっぱ、これだしょ!
 【肉団子の甘酢あんかけ】
唯一の動物性蛋白。
酢豚の肉団子版なんだけど、これが美味い。
肉団子を揚げるとこから作り始めるので時間がかかる。
でも、なかなかイケる。
我が家の定番の1つである。
 哀しいかな、2人でつまむにはこれっくらいが限度。
ビールとともに堪能した。
あとは食事である。
 【五目チャーハン】
やっぱこれである。
当店のチャーハンはホンットに美味いと思う。
今日は特に美味かった。
アブラ加減、塩加減ともに絶妙だった。
これも外せない定番になっちゃった。
 【野菜汁ソバのハーフ】
今回はカスタマイズ大成功である。
つい、その気になってハーフラーメンまでオーダーした。
でも、残念ながらこれだけがちょっとだけしょっぱかった。
あとは完璧な出来栄えだった。
うっせ〜客である。

 当店はテーブルチェックである。
お姉さんを呼ぶ。
「お会計、お願いしま〜す」
「塩加減は如何でしたか?」
「うん!ちょうど良かった。とっても美味かった」
「有難うございますっ!」
「何だかんだ我がまま言って申し訳ないね」
「いえ、仰っていただくと助かります。なかなか聞けないんですっ!」
 ホントに嬉しそうである。
「でも、我々は薄味好みだからね。他のお客さんとは違うかもね」
「それが、もう1組いらっしゃるんですよ」
「へ?」
「その方も薄味にして欲しいって仰るんです・・・」
 思わず嫁さんと顔を見合わせてしまった。
すぐにアタマに顔が浮かんだ。
きっと、S々木さんだべさ!
間違いない!
 個人商店の良さである。
結構、出口調査を気にしてくれる。
我がままも聞いてくれる。
通ったら、お好みにカスタマイズも可能かも・・・。