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癌スケ追撃 52日目

・退院
遂に来た。
退院日。
前もって言われてた。
「長く辛い治療になります。」
だからと言って、避ける術はない。
もちろん拒否は出来る。
でも、拒否する理由も度胸もない。
「出来る事は全てやって、後は天に祈るのみです。」
仰る通り!

現在出来る最大限の治療。
それが治験。
多施設共同研究。
抗がん剤の投与量も多い。
「じゃ、それ!」
新たな試みに乗った。
結果、いろいろ経験した。
でも、概ね医師たちの反応はポジティブ。
「やっぱ、このやり方はいいかも…。」
呟いてた。
っとは言え、本人は大変!
十分、地獄の沙汰を味わった。
ま、とりあえず終わった!
追撃完了!
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〈病院〉
・手帳
久々に引っ張り出した。
約1ヶ月半、ブランクになってる。
ま、スケジュール管理はスマホで出来ちゃう。
でも、違う。
段取りっつーモンがある。
「そりゃ、やっぱ手帳だら?」
早速、段取り。
退院速報を流す。
いろいろ手続きを片付ける。
快気祝いを送る。
イベントも大切。
そして、職場復帰。
「やっぱ、最後かい!」

この後は、経過観察。
定期的に検査・診察を受ける。
良く言われるのは、2年の壁。
そして、5年の壁。
「そりゃ、当面の目標は2年だべ!」
これをリハビリ期間にしたい。
菅ちゃんを鍛え上げる。
身体を鍛え直す。
2年後には、運動して飲んで喰う…。
「気合い入れて、頑張るで!」

夕べから、そんな事考えてた。
晩メシ、気合い入れて喰い過ぎたらしい。
夜中に、ひどい胸焼け。
胃酸が戻って来た。
「うおっと~~っ!」
飛び起きた。
こんなに苦労して喰ってるのに…。
「戻してたまるかっ!」
テンション上がっちゃったかな?
完全にオーバーペースだった。
「Keep my pace !」

癌スケ追撃 51日目

・帰国
朝イチ、Dr.E本来室。
「あれ、いつ戻られたんですか?」
夕べ夜中に到着したとか。
大変だで。
担当医からメールが来たそうな。
「退院はどうしますか?」
今の点滴が終わったら、もうOK。
明日は退院出来ると言う。
やれやれ…。

退院後の注意点は?
「ふつーでいいですよ。特に無いです。」
ただ、白血球は後から下がる事もある。
「急に熱発したら、すぐに来て下さい。」
そりゃそーだ。
温泉とかは?
「OKです。但し、肩までは禁止です。」
そりゃそーだ。
アルコールは?
「う~~ん!それはもうちょっと落ち着いてからにしましょう!」
ダメか…。
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〈そら〉
・謝意
ホントは、菓子折でも届けたい。
でも、禁止されてる。
それに、この規模じゃ訳わかんない。
個別にお礼を言うっきゃ無い。
まず、Dr.E本。
夕方、又来室したので謝意を伝えた。
「お世話になりました。引続き宜しくお願いします。」
看護師さんたちにも、個別にお礼を言う。
「そー言って頂けると嬉しいです。」

多くの方に見舞いも頂いた。
ご足労も頂いた。
親族もずいぶん気ぃ遣ってくれた。
「くそ忙しいのに、申し訳なかったで。」
快気祝いもちゃんとやりたい。
礼状も書きたい。
鉄は熱いうちに打て!
「退院したら、すぐにやるべ!」

何より、嫁さんにゃあ感謝。
青天の霹靂だったべ。
突然の看護生活。
単身生活から、一転。
メシの心配、着替えの心配。
慣れないクルマも乗らなきゃなんない。
「頭上がんにゃあで。」
出来る事は全てやった!
この後はリハビリ。
一日でも早く、日常を取り戻さないと!
「ちょっとでも恩返し出来れば…。」

癌スケ追撃 50日目

スペシウム光線
いよいよオーラス。
スタッフもみんなわかってる。
「最後ですね。頑張りましたね。」
いつも通り、寝台に横になる。
顔にシェルを被せる。
「はい、治療を始めます。」
このセリフを聞くのも、33回目。
ん?
なかなか始まらない…。
「済みません!機械が故障しました。」
おいっ!

隣の部屋に移動。
全く同じ設備が並んでる。
無事に終了。
「長い間、お疲れ様でした。」
「頑張りましたね。お大事に!」
そんなに声かけてくれるなら、花束でも用意したらいいのに…。
Dr.F田の診察もラスト。
「ホントに副作用が軽かったですね…。」
珍しそうな様子。
「2週間後に又、お会いしましょう!」
最後じゃないんだ…。
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〈そら〉
・口腔外科
お呼びがあった。
口腔外科外来に行くと、女医さんが待ってた。
「はいはい、ちょっと削って埋めましょう!」
簡単だった。
プラスチックで埋めた。
「又、取れちゃうかも知れないけど、いつでも言って下さい。」
怪しげな男子より、全然頼りになる。

放射線の影響らしい。
まだ、いい方だとか。
歯が抜けちゃうヒトもいるらしい。
「恐るべし!スペシウム光線!」
味覚、唾液、歯、口内炎、髪の毛、皮膚炎…。
特に味覚異常と唾液涸渇はすげー!
新鮮な体験だった。
っつか、まだ継続中。
味がしないモノを無理矢理喰う…。
なかなか出来ない経験だで。
ヒトによっちゃ、やけども深刻らしい。
「すげー犠牲だで…。」

・ケンタ
大陸で、排斥運動が起きてるとか。
スローガンは、
「民族の誇りを守れ!」。
素朴な疑問が…。
「翻訳が間違ってんじゃね?」
やまだかつて聞いたことがない!
民族なんて概念があるのか?
誇りって、埃の間違いだべ。
ま、単なる憂さ晴らしってヤツだべ?

もう1つの疑問。
何故、店が襲撃されないのか?
「やっぱ、認識が違うんだべなー。」
一目置かざるを得ない。
小愚民でもそこは見極めてる。
心配なのは、この国の代表たち。
「ぐちゃぐちゃ余計な事言うなよー!」
いくら、占領下だからと言って…。
「何でも言いなりじゃ無くてもいいべ!」
今はまだ、大きなお世話!で済んでる。
又、襲撃されるまで続ける気だか?

癌スケ追撃 49日目

スペシウム光線
朝イチでお呼びが…。
今日がラス前。
7週間以上の長期に亘った。
「長っげーよなーっ!」
基本的には通院治療。
ヒトによるけど、痛くも痒くもない。
でも、それはやけどだけの話。
「やけどは対処できるべや!」
問題は、口腔内の副作用!
味覚異常、唾液涸渇、腸管斂縮…。
「入院してて良かったー!」

おまけに、歯がおっ欠けた。
ちょっと、想定外だった。
自分の歯が欠けるなんて、夢にも思わなんだ。
今日は口腔外科診察があった。
体育会系もびっくり。
「あらーっ!」
治した方がいいわよね。
明日か明後日に医師のアポ取ってくれるそうな。
入院中で良かった。
退院後だと、又ひと騒動だで…。
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〈そら〉
・治験
ケモ、オーラスだで!
泣いても笑っても、最後。
これでプロトコールは完遂だべ。
せっかくの治験。
「データ集計には貢献したいべや!」
いろいろあった。
船酔い、糞づまり、白血球低下…。
でも、乗り越えて来た。
何とかドロップアウトしなかった。
「まずワンステップ、クリアだべ…。」

更に、データ集計に貢献したい。
この後、2年。
そして、5年。
結果、良好であったと言わせたい。
Dr.E本には言われた。
「出来る事はすべてやって、後は天に祈るしかないですね。」
ま、その通りだべ。

確率は五分五分。
正に当人にとっては、半々。
再発するか、しないか!
どっちかしかない!
「そんなの、何だって同じだべ。」
明日、元気かどうか?
来月、癌スケに襲われるかどうか?
来年、生きてるかどうか?
何だって五分五分。
「そんなこん、考えたってしゃあんめ!」
オーラスの点滴が終わった。
「出来りゃあ、今生の別れにしてゃあで!」

癌スケ追撃 48日目

・白血球
朝イチ、血ぃ抜いて行きよった。
結果、白血球は回復。
担当医はニコニコしてる。
「これでスキップした化療が出来ます。」
明日、最終回。
訊いてみた。
「退院の目安は?」
「えーと、それは検討しますのでちょっと待って下さい。」
今週末じゃないの?

「あと、体調は変わりないですか?」
無いと言えば、無い。
「そー言えば、歯がおっ欠けた。」
「え? 歯ですか?」
一度、口の中覗いて診る。
「明日、口腔外科の診察があるから、その時に言いますよ。」
担当医もホッとしてる。
「そーですか!それがいいですね!」
そりゃ、専門外だべ…。
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〈そら〉
・先のこと
今まで、一切考えなかった。
過去のことは思い返さない!
先のことは考えない!
「今だけを生きる!」
この精神で、ここまでたどり着いた。
でも、ここまで来た。
ここからは、ちょっと違うべ。
いろいろ考えなきゃ!
「まずは、社会復帰の段取りしなきゃ!」

まず、ボスにメールした。
ジャブメール。
多分、来週退院出来る。
一日でも早く職場復帰したい。
が、しばらくはリハビリが必要。
ってな内容。
すぐに返信が来た。
祝意と、退院日程がわかったら知らせて欲しい。
長期療養の診断書が必要。
「良かったら、取りに伺う!」
ボスらしいで…。

早速、事務方に診断書を依頼。
他にもやる事がいろいろ…。
・癌スケ保険の診断書入手と給付申請
・銀行屋の抵当権抹消手続き
・ETCの割り引き手続き
・高額医療費の返金手続き
障害年金の内容確認と手続き
・携帯電話の割引制度確認と手続き
・車検と、次代の検討
・イベント作りと、100のリスト再検討
仕事は…?
「へ?」

癌スケ追撃 47日目

・とこやま
久々に我が家で寝た。
寝室の装備は完璧。
加湿空気清浄機も購入。
先週、エアコンもつけてもらった。
夜中に何度も目が覚めた。
「何だか、飛行機の中みてゃあだで、…。」
朝、嫁さんに訊いたら笑われた。
空気清浄機がフル回転。
「おやすみモードにしなきゃ、うるさいわよ。」
知らねーよ。

今日は、とこやま。
ま、ものの5分で済んじゃう。
改めて三面鏡を見て、がっくし。
只でさえ、誇れるような頭じゃない。
それが、サバンナみたいに…。
クビに近いとこは、完全に枯れてる。
頭頂部近くは、まばら…。
全英オープンが出来そうだで…。」
ほぼ、スキンヘッドにしてくれた。

クビも、結構醜い。
日焼けみたいと言えば、そーだけど…。
元々のオペ跡が、醜さに輪をかける。
「こんなんで、出歩きたくにゃあなー。」
一応、今週末に退院だべ。
さて、どーすっか…?
ボスにも連絡しなきゃ。
来週、試運転。
再来週から、リハビリ通勤。
それも、ここの事業所へ。
「そんな感じで、お願いすっかなー。」
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〈そら〉
・歯っ欠け
メシを喰うのは、一大作業。
少しでも唾液が出ないかと、ひたすら噛む。
マッサージもする。
なかなか辛抱が要る。
「食べる事は、生きる事!」
突然、ガリッと音が…。
「あれっ!小石でも噛んだかな?」
違った。
奥歯が、おっ欠けた。

ショックだで…。
歯が丈夫で有名だった。
「瀬戸物みたいな歯ですねー!」
っと歯医者が驚いてた。
ここに来てからも、お誉めを頂いた。
「立派な歯ですねー。」
歯みがきが上手い。
メンテナンスが行き届いてる。
「親不知も全部揃ってるって、驚異的ですよ!」
どやっ!

その驚異的な歯がおっ欠けた。
スペシウム光線のせいだで…。」
治療が始まる前に言われた。
「危ない歯は抜いておいた方がいいです。」
当然、口腔外科の診察も受けた。
治療にOKを出した。
「恐るべし!」
このままじゃ、口の中が傷つく。
せめて角を取って欲しい。
「明後日の診察で、相談だなー。」

癌スケ追撃 46日目

・対策
スペシウム光線の照射方法が変わった。
って話を聞いてから1週間。
「味覚と、唾液は徐々に回復します。」
って言ってた。
でも、全然変わらない。
相変わらず食事は至難の技。
毎度、スタッフが喰ってる最中に下膳に来る。
その度にイラッとする。
「話が違げーじゃねーか!」

嫁さんが調べてくれた。
早期回復対策。
世の中に似たような境遇のヒトは少ない。
でも、ゼロじゃない。
やっぱいろいろ試してるヒトがいた。
1つは、ガム。
しょっちゅうガムを噛む。
いいかも…。
唾液を誘発するかも…。
「明日のジョーを思い出すで…。」

もう1つ、レモン炭酸水。
これでうがいをするといいそうな。
炭酸の刺激がいいとか。
「でも、うがいっつってもなー。」
上向いて、ガラガラ出来る訳じゃない。
口に含んで、ブクブクするっきゃない。
そいでも、刺激に変わりはない。
「やってみんべ!」
早速、ファミマで調達。
ん?
「何だ!これグレープフルーツじゃ!」
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〈そら〉
・外泊
ケモが延期になった。
白血球数が、基準値を割った。
来週、もう一度血液検査。
これで回復してれば、翌日抗がん剤投与。
ダメなら、もう時間切れ。
ケモは1回パスで、6回で終了。
いずれにしても、21日のスペシウム光線が最後。
治験終了。
「長かったなー…。」

この三連休、どヒマ。
強いて言えば、摂食治療のみ。
ひたすら喰うだけ。
味もわかんない。
義務感だけで、ひたすら噛む。
45分もかけて、完食する。
看護師さん、スタッフにヤな顔されながら…。
「好きで遅い訳じゃにゃあわっ!」
唸り飛ばしたくなる。
Dr.E本には言われた。
「やること無いから、外泊していいですよ。」

かと言って、家でも同じ。
嫁さんが大変なだけ。
このくそ忙しい現代社会。
「誰が一時間もかけて、メシ喰ってられるか!」
喰ってる本人だってイライラする。
まして待たされる健常人は…。
「堪ったモンじゃにゃあで!」
んなら、病院にいた方がまし。
下膳に来たスタッフを無視してれば済む。
「一泊だけ、外泊すべ。」
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〈そら〉
・じじばば
朝、嫁さんに迎えに来てもらった。
いつものパターン。
クリーニング屋に行って、食材仕入れて…。
なるべく、出来合いのモンにしたい。
惣菜コーナーを物色。
「そんなの美味しくないよ。私が作るわよ。」
って、気持ちは有難い。
でもなー…。
せっかく作ってもらってもなー…。
「美味しいって、言えにゃあのも辛りゃあで…。」
もうちょっとの辛抱と信じたい。

じじばばが来た。
次男坊一族が送迎役。
「三連休なのに、気の毒に…。」
晩メシの時間に合わせてもらった。
道中、鈴廣とか寄り道してもらって…。
しばし、我が家でお茶した。
ユアトーンが活躍。
筆談とは雲泥の差がある。
でも、大人数になると厳しい。
じじばばには、ほとんど通じない。
「もっと練習しないとダメかも…。」

ネタ振りで、訊いてみた。
「今年は、沼津の花火は何時だね?」
すると、瓢箪から駒。
「そーだ!30日に桟敷席を買ってあるだよ!」
っと次男坊。
もう何年も見てないなー。
っつか、桟敷席は行った事がない。
「一生に一度くりゃあ、行ってみてゃあじゃ!」
行く事になった。

・【みずほの】
晩メシは【みずほの】。
ご一行様から、声があったそうな。
「さすがに【パットーラ】は飽きた。」
飽きるほど来てるって事じゃ…。
次なる引き出しはここ。
そんなに沢山ある訳じゃないし…。
遠くまで行きたくないし…。
「ま、じーじの好きなうなぎもあるし…。」

そもそも、一緒にメシ喰うのが大変。
って何度言っても、聞いちゃいない。
もっと言えば、苦痛。
出来れば一人でマイペースで喰いたい。
「今のメシは、治療なんだから…。」
ま、健常人には理解出来ないべな。
【みずほの】のウリは、釜めし。
食材はいい。
さすがはJA直営。

てんでに注文して、喰い始めた。
ま、早いこと早いこと。
「普段、メシ喰ってにゃあだか?」
ってくらいガツガツ…。
ものの10分。
「あー、旨かった。お腹いっぱい!」
ふんぞり返って、ひと心地。
病人は、まだ3割程度。
それでも、結構焦って喰ってる。
ペースが守れないから、菅ちゃんが詰まる。
「拷問だで…。」
いや、これもきっと愛のリハビリだ!