癌スケ追撃 46日目

・対策
スペシウム光線の照射方法が変わった。
って話を聞いてから1週間。
「味覚と、唾液は徐々に回復します。」
って言ってた。
でも、全然変わらない。
相変わらず食事は至難の技。
毎度、スタッフが喰ってる最中に下膳に来る。
その度にイラッとする。
「話が違げーじゃねーか!」

嫁さんが調べてくれた。
早期回復対策。
世の中に似たような境遇のヒトは少ない。
でも、ゼロじゃない。
やっぱいろいろ試してるヒトがいた。
1つは、ガム。
しょっちゅうガムを噛む。
いいかも…。
唾液を誘発するかも…。
「明日のジョーを思い出すで…。」

もう1つ、レモン炭酸水。
これでうがいをするといいそうな。
炭酸の刺激がいいとか。
「でも、うがいっつってもなー。」
上向いて、ガラガラ出来る訳じゃない。
口に含んで、ブクブクするっきゃない。
そいでも、刺激に変わりはない。
「やってみんべ!」
早速、ファミマで調達。
ん?
「何だ!これグレープフルーツじゃ!」
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〈そら〉
・外泊
ケモが延期になった。
白血球数が、基準値を割った。
来週、もう一度血液検査。
これで回復してれば、翌日抗がん剤投与。
ダメなら、もう時間切れ。
ケモは1回パスで、6回で終了。
いずれにしても、21日のスペシウム光線が最後。
治験終了。
「長かったなー…。」

この三連休、どヒマ。
強いて言えば、摂食治療のみ。
ひたすら喰うだけ。
味もわかんない。
義務感だけで、ひたすら噛む。
45分もかけて、完食する。
看護師さん、スタッフにヤな顔されながら…。
「好きで遅い訳じゃにゃあわっ!」
唸り飛ばしたくなる。
Dr.E本には言われた。
「やること無いから、外泊していいですよ。」

かと言って、家でも同じ。
嫁さんが大変なだけ。
このくそ忙しい現代社会。
「誰が一時間もかけて、メシ喰ってられるか!」
喰ってる本人だってイライラする。
まして待たされる健常人は…。
「堪ったモンじゃにゃあで!」
んなら、病院にいた方がまし。
下膳に来たスタッフを無視してれば済む。
「一泊だけ、外泊すべ。」
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〈そら〉
・じじばば
朝、嫁さんに迎えに来てもらった。
いつものパターン。
クリーニング屋に行って、食材仕入れて…。
なるべく、出来合いのモンにしたい。
惣菜コーナーを物色。
「そんなの美味しくないよ。私が作るわよ。」
って、気持ちは有難い。
でもなー…。
せっかく作ってもらってもなー…。
「美味しいって、言えにゃあのも辛りゃあで…。」
もうちょっとの辛抱と信じたい。

じじばばが来た。
次男坊一族が送迎役。
「三連休なのに、気の毒に…。」
晩メシの時間に合わせてもらった。
道中、鈴廣とか寄り道してもらって…。
しばし、我が家でお茶した。
ユアトーンが活躍。
筆談とは雲泥の差がある。
でも、大人数になると厳しい。
じじばばには、ほとんど通じない。
「もっと練習しないとダメかも…。」

ネタ振りで、訊いてみた。
「今年は、沼津の花火は何時だね?」
すると、瓢箪から駒。
「そーだ!30日に桟敷席を買ってあるだよ!」
っと次男坊。
もう何年も見てないなー。
っつか、桟敷席は行った事がない。
「一生に一度くりゃあ、行ってみてゃあじゃ!」
行く事になった。

・【みずほの】
晩メシは【みずほの】。
ご一行様から、声があったそうな。
「さすがに【パットーラ】は飽きた。」
飽きるほど来てるって事じゃ…。
次なる引き出しはここ。
そんなに沢山ある訳じゃないし…。
遠くまで行きたくないし…。
「ま、じーじの好きなうなぎもあるし…。」

そもそも、一緒にメシ喰うのが大変。
って何度言っても、聞いちゃいない。
もっと言えば、苦痛。
出来れば一人でマイペースで喰いたい。
「今のメシは、治療なんだから…。」
ま、健常人には理解出来ないべな。
【みずほの】のウリは、釜めし。
食材はいい。
さすがはJA直営。

てんでに注文して、喰い始めた。
ま、早いこと早いこと。
「普段、メシ喰ってにゃあだか?」
ってくらいガツガツ…。
ものの10分。
「あー、旨かった。お腹いっぱい!」
ふんぞり返って、ひと心地。
病人は、まだ3割程度。
それでも、結構焦って喰ってる。
ペースが守れないから、菅ちゃんが詰まる。
「拷問だで…。」
いや、これもきっと愛のリハビリだ!