癌スケ追撃 5日目
・ふんづまり
今日は朝からひと騒動。
いつも通り、5時に目が覚めた。
いつも通り、寝たままストレッチ。
基本は肩腕のストレッチ。
ついでなので、腹筋・腿も…。
腿を伸ばす頃に内臓が動き始める。
「よっしゃ!今日も快便っ!」
ってのが、いつものパターン。
なんだけど、ここに来てから違う。
「全然、もよおして来にゃあなー…。」
今日はちょっと違った。
見事にもよおして来た。
「お、昨日飲んだ緩下剤が効いたかな♪」
喜び勇んで、トイレに。
ところが、ここからが地獄だった。
何せ、便秘の経験がない。
勝手がわかんない。
ふつーに出るもんだと思ってた。
「あれっ?」
出ないっ!
途中で止まっちゃった!
「おいっ!冗談だろっ!」
気合いで押し出す。
それが出来ない。
いきめない。
下っ腹は、完全にもよおしてる。
圧力がかかる。
でも、岩盤が塞がってる。
「どーすりゃいいんだっ!」
看護師さんに助けを求めたい。
でも、身動き出来ない。
岩盤が、半分顔出したまま。
隙間から液状の染みだしもある。
「誰か、助けてくれ~~っ!」
〈そら〉
・天使
糞闘すること、小一時間。
「もう、どーしょーもにゃあっ!」
覚悟を決めた。
トイレットペーパーでナプキンを作る。
多少、下着が汚れてもしゃあない。
この姿でとりあえずトイレを出た。
「筆談が出来なきゃ、何も伝えられにゃあで…。」
ホワイトボードに状況説明。
そこに、看護師さん来室。
K成さんだった。
すぐに異様な雰囲気を察してくれた。
自分はわかんない。
でも、きっと臭いもあったべなー。
K成さん曰く。
「今日は男性職員もいるので、ほじり出してもらいますか?」
すぐにお願いした。
待つこと30分。
その長いこと、長いこと…。
又、もよおして来た。
とりあえずトイレに。
「ダメだっ!状況は変わんにゃあっ!」
又々、ナプキン作ってトイレを出た。
そこに看護師の兄ちゃん。
「出ましたかぁ?」
クビを思いっきり横に振る。
「じゃ、掻き出しましょう。横になって下さい。」
情けないとか、言ってらんない。
「ちょっと痛いけど、我慢して下さい。」
指を突っ込んで、岩盤を粉砕。
「とりあえず蓋が取れました。もう1つありますが、奥なので又降りて来たらやりましょう。」
ふう~~っ…。
蓋が取れた。
後は、堰を切ったごとく。
もう1つの岩盤も勢い良く出てった。
「2度と現れるなっ!」
この解放感は、初体験。
「いやぁ、助かったあ~~っ。」
兄ちゃんが天使に見えた。
「よくもまぁ、次々と新たな沙汰を用意してくれるもんだで。」
・天使2
看護師さんは天使。
男だろうが、女だろうが、天使。
プラス、助手さんも天使。
見てると、両者に違いがあるらしい。
「多分、守備範囲だべな…。」
医療行為に差がありそう。
でも、助手さんはめちゃ有難い。
細かい身の回りの世話をしてくれる。
シーツや、カバーの交換。
ベッド回りの消毒。
アイスノンとかも頼む。
身体を拭くためのタオルも。
「ものすごいお世話だで…。」
今日は、朝イチでぐったり。
疲れ果てた。
気が抜けた状態で、採血。
続いて、ライト朝メシ。
カロリーは不安だけど、負担はラク。
何故か、放射線治療は朝イチだった。
耳鼻咽喉科診察も続いた。
「問題なく、治療継続出来ます。」
10:00までに、今日のduty完了。
途端に、眠くなった。
「正に、3食昼寝付きだで…。」
ふと、物音で目が覚めた。
助手さんが、ベッド回りを拭いてる。
「あ、ホットタオルお持ちしましょうか?」
この気遣いが嬉しい。
「背中は、お拭きしますよ。」
更に嬉しい。
「あー、気持ちいい。オキシトシンが出そうだで…。」
声は出ないけど、感謝感激。
「あと、タオル2枚ありますからお使い下さい。」
有難い。
朝からのドタバタを払拭。
思いっきりリフレッシュ出来た。
やっぱ、天使だで!