東京本社通勤のこと

・本社会議
ボスの暖かい思いやり。
「11:00から会議しますので、出て下さい。」
って言われたのが1週間前。
退院して、職場復帰した直後。
「ボスらしいで…。」
1週間、傾向と対策を考えた。
会議資料は、ボスが全部用意してくれた。
身体だけ運べって事。
「何だか、お客さん扱いで恐縮しちまあなー。」

でも、行く事自体が大イベント。
まず、服装をどーするか?
特にクビ周りはどーするか?
幸い、5月。
クールビズのシーズンに入った。
とりあえずノーネクタイ。
「恐ろしくて、ネクタイなんか出来るもんかっ!」
気管孔は保護しなきゃ。
かつ、クビの醜いキズは隠したい。
「やっぱ、エプロンガーゼにバンダナかな…。」

次は電車。
ピーク時間は、勘弁してもらう。
事前にメールを送った。
「咳き込みでもしたら、厄介だで…。」
用心して、グリーン車へ。
これが意外に混んでた。
大船駅で、ほぼ満席。
「優雅なのか、事情があるのか…。」
途中、ちょっとむせた。
けど、あの距離感ならま、何とかなる。
「3等じゃ、ちょっときついなー。」
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〈そら〉
・コミュニケーション
何とか本社到着。
やっぱ、歩くのも遅くなってる。
15分の距離感じゃにゃあ。
ひと汗かいちまった。
本社前でしばし涼んでたら、知人が通っちまった。
「あべっ!」
思いっきりにこやかに会釈して、その場を離れた。
先方は、何か話したそうな、不思議そうな顔だったけど…。

いろいろ想定はした。
もちろん、ホワイトボードは必携。
それ以外に幾つか紙を用意した。
「お礼と近況報告」。
「今後の治療予定」。
「病気の説明用の頭頸部の絵」。
これは役に立った。
まず、社長に挨拶。
関係役員にもひと通り挨拶。
十分、用が足りた。
挨拶だけなら、全然OK。

いざ、仕事となると話は別。
コミュニケーションにはめちゃ苦労。
筆談とジェスチャーじゃ、とっても追いつかない。
テンポが全然違う。
2~3文字書く間に、相手は先を読む。
「あ、○○ですよね。やっときました。」
…みたいな…。
会議も、発言のしよーがない。
採決の挙手しか、参加できない。
もどかしさも通り越しちゃう。
そりゃ、関係さんや嫁さんとは訳が違うわな。
100%身障者に構ってらんない。
「現実だべなー。」
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〈そら〉
・ランチ
昼メシも考えた。
もちろん、みんなと喰いには行けない。
スペシャルランチを用意した。
バナナ、メイバランス、おにぎり、刻みオクラ。
何とか流し込もう…。
「かなりの苦心作だで。」
でも、いろいろ想定外。
「何で、本社の衆はメシ喰いに行かないんだべ?」
デスクで喰ってるヒトが多い。
仕事しながら…。
「大きなお世話だけど、せっかく不自由なく喰える喜びを味わえばいいのに…。」

想定外で、困った。
流し込もうとは言っても、苦労する。
いろいろ音がする。
「ぐびっ!ぐびっ!」
「ぐるぐるっ!」
管ちゃんとの闘いの音。
そして、時々むせる。
「ひゅ~~っ!ひゅ~~っ!」
何となく、フロアに不穏な空気が…。
しかも、めちゃ時間がかかる。
メシ喰いに行った衆も、ぼちぼち戻って来る。
「あべっ!」
焦るとますます時間がかかる。
「疲れたあ~~…。」

ま、とりあえず行って良かった。
感触がわかった。
1ヶ月休んで、すべき挨拶も出来た。
いろんな事がわかった。
課題もわかった。
「もう、しばらくはいいや…。」
フルコース終わってから考えよう。
食事と、コミュニケーション。
何か解決法を見つけないと…。
少なくとも、本社には行けないなー。
「ま、先の話だに…。」