癌スケ退治 3日目

・初車イス
結構、良く眠った。
夢うつつだけど、ほぼブラック。
いろんな夢を見た。
夢のチャンネルを選んでる。
我ながら可笑しい。
「どうせ身動き出来ないんだから、こんな事っきゃやることにゃあし…。」

9時頃、耳鼻咽喉科診察があった。
スタッフが数人。
車イスに乗せてくれるとか。
初体験っ!
スープスパゲティが、48時間ぶりに身体を起こせた。
立ち上がって、車イスに移動。
「何だ、もう立てちゃうじゃんん。」
「すごいですねー。驚異的な回復力ですねー。」
そりゃ、そーだ。
下半身は鍛えてるもん!
「ホントは歩いて行けるんだけど…。」

初車イスの感想。
思ってた以上に場所を喰う。
傘かしげ、とか言う訳にはいかない。
こりゃ、街中で使うのは大変かも…。
あと、当たり前だけど不自由。
扱いも簡単じゃない。
スポーツやってるけど、相当な訓練がいるべな。
「想像以上の抑制感だで。」
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〈そら〉

耳鼻咽喉科診察
診察のメインは、管ちゃん。
移植された腸管の管ちゃん。
空腸モニターの管ちゃん。
なかなかの人気者。
今日の先生も同じ。
「どれどれ、元気かな?」
患者本人より、大事にされてんじゃない?

ゲンタシン軟膏が処方された。
気管孔用。
まだ縫い目も見える。
術後感染予防なんだべ。
「これを毎日、2~3回塗って下さい。」
それにしても、ゲンタシンか…。
やっぱ、原始的な方がいいのかも。

永久気管孔…。
「初めまして!」
これから死ぬまでお世話になる。
見たくれは、悪い!
お世辞にも美しくにゃあ。
でも、とっても大切。
まだまだ認識が甘い。
自分の身体のパーツとして、馴染んでにゃあ。
早く慣れなきゃ。
「命に直結してるで。せっかく繋いだ命に!」

・平枕
部屋に戻ったら、景色が一変してた。
シーツも、枕も、布団も交換。
何より枕が嬉しかった。
平枕。
何の変鉄もない枕。
これが、ホンットに有難かった。
「普通の枕で眠れる幸せなんて、健康な時にゃあ全くわかんにゃあよ!」

汚れたスープスパゲティの器は交換。
今度はスープなしスパゲティ。
とりあえず動けるだけで幸せだ。
「あとは、麺が1本ずつ抜けて行くのを楽しみにするっきゃにゃあ。」

看護師さんが2人来室。
「身体を拭いて、着替えましょうか?」
待ってましたっ!
昨日から楽しみにしてた。
ホントはシャワー浴びたいけど…。
2人がかりで、身体を拭いてくれた。
1人は男子で、そこそこチカラもある。
「あーっ、気持ちいいっ!」
気持ちをジェスチャーで伝える。
出来れば声に出して伝えたいけど…。

 男子曰く。
「気持ちいいですよねー。でも、これで650円ですから…。」
ふーん。
診療報酬65点か…。
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〈輸液ポンプ〉

・ナースコール
今思えば、そーだった。
この部屋、ナースステーションのトイ面。
ひと晩中、電子音が聞こえる。
「ピンポーン、ピンポーン!」
「ピポピポピポピン…。」
「ぶぇーっ!ぶぇーっ!ぶぇーっ!」
先週来た時にゃあ、部屋替えてもらおうかと思った。
それくらい、うるさい。
でも、今週は違った。
「ナースステーションが近くて、安心…。」
人間は、勝手が強い!

実際、何度もナースコール使った。
まず、トイレ。
シビンなんか、ヤ!
って伝えといた。
スパゲティのポンプを引き連れて行く。
コードを外して貰って行く。

そして、鎮痛剤。
何度も、腹を指差しアピール。
その都度、対応。
「痛み止め使いましょうね。」

次は吸引。
これが難しい。
気管孔近くに、排痰する。
その後、吸引してもらう段取り。
タイミングがわからない。
わからないから、とにかく呼ぶ。
看護師が来る。
必死で、ノドを指差しアピール。
「痰がからむんですね。吸引しましょうか?」

後から思えば、ありゃ痰の内に入らにゃあ。
でも、その時は必死。
しょうがない。
初体験者。
看護師さんも心得てる。
「そりゃ、天使に見えるで。」