癌スケ襲来
・【奥の院】
すっかり、お馴染み。
毎月1回は来てる。
板さんたちも、知り合いが増えた。
座るのは、必ずカウンター。
「寿司喰うのには、やっぱカウンターだしょ。」
今日も、砂かぶり席に通された。
いつものS西さんの前。
でも、今日のS西さんは、めちゃ忙しかった。
っつか、異様に神経使ってた。
「ま、いいや。しばらくの喰い納めだで。」
嫁さんとは店で待ち合わせ。
こっちゃ、埼玉事業所から駆けつける。
嫁さんは、銀座から。
たいがい買い物袋を抱えてる。
いつものパターン。
時間は、ピークのちょっと前。
店全体が盛り上がる頃。
「やっぱ、寿司は勢いだで。」
有名な【すしざんまい】。
ま、賛否はあろう。
その中の、一店舗。
なんだけど、どうも他店と違う気がする。
ここだけは、外したくにゃあ。
湊に住んでた頃は、月2回は来てた。
思う存分、飲み食いして、歩いて帰る。
しかも、めちゃリーズナブル。
「そりゃ、捨てがたいよなー。」
〈銀座〉
・白ワイン
来ると、まずビール。
漏れなくお通しが付いて来る。
なので、軽い旬のつまみを2~3品。
「やっぱ、ホタルイカかなー。」
そして、おもむろに白ワイン。
ここんち白ワインが、不思議と美味しい。
しかも、安い!
いつも、ブルゴーニュの白!
ワインが注がれる頃から、握りを…。
定番がある。
「ヒカリモノ、全~部握ってくれる?」
板さんも、心得てる。
シャリ小さめで、ゆっくり出してくれる。
旬のヒカリモノがあったりする。
今日は、サヨリがあった。
S田さんがいたら、絶対言う。
「へい、石川サヨリ、お待ちっ!」
いつつ来ても、ヒカリモノが旨い。
イワシが旨い。
アジも旨い。
シメサバも旨い。
コハダ、特にシンコは最高。
お代わりしたりもする。
ワインがどんどん進んじゃう。
「あー、幸せだー…。」
あとは、その日次第。
いつも、いい思いさせてもらう。
ウマヅラの肝つきなんて、堪えられない。
アマダイの昆布〆も旨い!
特大サザエもイケた。
夏は、鮎の塩焼き。
冬は、ノドグロ。
「いやー、どれもこれも旨かったなー。」
コスパ、最高!
しばらく来られないけど…。
・引っ越し
又1つ、難題が…。
ボスから連絡が来た。
総務部から言われたそうな。
「早急に単身社宅を引き払って欲しい。」
え~~っ!
全然時間ないじゃん。
引っ越し業者だって、捕まるかどうか…。
業者は、ボスが何とかすると言う。
「ピンポイント、4月5日しかないですねー。」
急で申し訳ない。
ボスも恐縮してる。
でも、考えてみれば当然。
病院の事を考えて、ボスがH塚事業所に勤務出来るように奔走してくれた。
モバイルパソコンも手配。
かなり融通が利く環境にしてくれた。
って事は…。
単身社宅は不要でしょ?
病気で大変だけど、引き払ってよ。
ってのが、総務部の言い分だべな…。
「おっしゃる通りです。甘かったです。」
大して時間がない。
段取りを考えた。
理屈としては、何とかなる。
「芸能人並みの忙しさになりそうだで。」
忙しさもいいかも…。
余計な事を考えられない。
バタバタと追われて、いつの間にか入院。
気がついたら、オペが終わってた。
「これが理想的やねー。」