癌スケ襲来

・評判
置かれた状況は、はっきりした。
向かう方向も、ほぼ見えてる。
んなら、今出来る事は…?
「情報収集っきゃにゃあ。」
早速、保っちゃんに電話してみた。
保っちゃんは、昔の仕事仲間。
共に、やんちゃな二十代を過ごした。
保っちゃんは、大学病院関係に明るい。
「評判を訊いてみよっと!」

電話で状況を話した。
来週、セカンドオピニオンもらいに行く。
何でもいいから、情報ちょーだい。
保っちゃん、明快だった。
「そりゃ、直ぐにオペした方がいいよ。」
全摘しないと、後で再発するリスクが大きい。
再発したら、その後がもっと大変。
声なんか、後からカバー出来る。
生きててナンボ。
「わっかりやすいなー。」

病院の評判も教えてくれた。
元々はK大閥だった。
ある時、トップがT大の血を入れた。
それからレベルが急上昇。
っだそうな。
「オペの数をこなしてる病院がいい。大工仕事と同じだよ。」
症例数は、NET で公表されてる。
T海大は、県内ナンバー1だった。
「方向性は決まった…。」

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〈そら〉

・経験者
ふと、思い出した。
会社の同僚で、経験者がいた。
確か、ノドの癌で手術した。
その後、リハビリしながら仕事。
ま、あまり表に出ない仕事にしてた。
でも、声は出てる。
ろれつが回らないが、何とか通じる。
「あれくらいで済むなら、希望が持てるなー。」
癌スケの種類は何だべ?
機能を温存出来るオペだったのかな?
「電話してみるべ。」

大阪事業所に電話した。
「参考までに教えて下さい。癌スケの種類は何だったの?」
咽頭癌だったそうな。
咽頭癌には、上・中・下があるそうですが?」
咽頭癌だったそうな。
がくっ!
「それで、機能を温存出来たんですね。」
「そーなんや。危ないところだったんや。もう少し下だったら声も無くしてたとこや。」
そーでしたか…。
「それは良かったですね。不幸中の幸いでしたね。」

がっくし。
中だったかー。
下じゃなかったんだー。
下だったら、参考になるかと思ったのに…。
残念。
中だったら、ギリギリセーフ。
ホント、不幸中の幸いだったね。
下だったら、完璧アウト!
「こっちは、不幸中の不幸らしい…。」