【玉善】のこと

・放浪記
 前の会社の仲間からお誘いがあった。
「たまには呑まないか?」
そりゃ、望むところ。
但し、時間はちょっと遅くなる。
何せ、埼玉事業所から上京は結構ホネ。
一時間半はかかる。
最寄りの鉄道駅までのバスがネック。
しかも通勤ラッシュ。
陸の孤島だで‥‥。」

 集合場所は、湯島。
【玉善】。
そこそこ有名な店らしい。
酒場放浪記に登場したんだとか。
仲間の一人に、居酒屋フェチがいる。
名だたる居酒屋を歩いてる。
何軒か、一緒に行ってる。
日本橋人形町、築地‥‥。
「日本酒以外、置いてない店には参ったで。」
そんなとこも行った。

 今回もその1つ。
当然、フェチのアレンジ。
「結構、予約も大変なんだぜ。」
最初は5人で座敷を予約したらしい。
ドタキャンが1人出た。
「済みませんが、テーブル席でお願いします。」
たちまち、降格。
「ま、この混み方じゃ、しゃあんめ。」

・王道
 ちょっと遅れて合流。
駆けつけ三杯で、追っつかないと!
早速、再乾杯。
目の前の料理に取りかかる。
まず、刺盛り。
「ずいぶん豪華な刺身やねー。頼み過ぎじゃねえの?」
ってくらい、立派。
種類も10種はあるし、量も多い。
「でも、これで二人前だぜ。」
まじかよ。

 美味しかった。
どれもこれも、満足。
ウリの、玉善トウフも美味かった。
「出汁湯豆腐って、有りそうでにゃあで。」
おでんに似てるかも。
さつま揚げも美味い。
一つ一つ、しっかりした質感。
ボリューム満点。

 腹一杯。
にもかかわらず、鍋を喰うと言う。
「もう、喰えねえよー。」
ってな声にもめげず、フェチがオーダー。
「二人前にしたから、一口ずつだよ。」
嘘つけっ!
でも、美味かったー。
ちゃあんとしてる。
居酒屋離れしてる。
「こりゃ、チェーン居酒屋にはにゃあなー。」
大満足だで。
☆は、2つ半!