叔父の告別式のこと

・前立腺癌
 じーじのお兄さんが亡くなった。
叔父さんになる。
じーじの実家の近所に居を構えてた。
実家は当然、長兄が継いでる。
この村の大地主だったらしい。
叔父さんは分家なので、勤め人だった。
じーじが一番頼りにしてた。
「何だか、ウマが合ってたんだべなー。」

 癌だった。
前立腺癌。
ステージは不明。
医師からオペは勧められたらしい。
でも、オペはしないと言い張ったそうな。
「オペ出来るなら、治せるかもよ。」
じーじに説得するように、進言した。
じーじも頑張ったらしい。
当然、3人の息子も説得した。
でも、頑として聞かなかったそうな。

・精進落とし
 葬儀は、静岡市郊外の斎場。
道路挟んだ反対側が火葬場。
なかなか良く出来たロケーションだった。
告別式、納官、火葬と恙無く進んだ。
従兄弟が喪主。
兄弟3人で助け合って、キリモリしてる。
「身につまされるなー‥‥。」

 最後は、精進落とし。
当然、事前に近しい衆に声をかけてある。
ひと騒動あった。
席が足りない。
招かざる客が紛れ込んだらしい。
「どこにもいるんだよなー。KYが‥‥。」
喪主たちが、別席に座って収めた。
料理なんかなし。
「大変だなー。」

 すごい料理だった。
お持ち帰り用のお重がドンと置いてある。
更に次々と料理が出てくる。
食材もハンパなかった。
三兄弟が、客に酌して廻ってる。
甲斐甲斐しい。
「ご愁傷さま。大変だったね。」
「いやあ、何が何だか、訳がわかんねえよ。」
「それにしても、すごい料理だねー。」
「全部言いなりにしたら、こんなんなっちゃった。」
ホンネだべなー。