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合同慰霊祭のこと

・住職
 年に一度の合同慰霊祭。
三島の【開田院】で催される。
毎年、4月の第一日曜日に決まってる。
2007年以降、毎年欠かさず参列。
「欠かせるもんかっ!」
まおが眠ってるで‥‥。
【開田院】に墓を求めたのは、40年近く昔。
当時の愛犬チコが亡くなった時。
18歳までは一緒に暮らしてた。
でも、実家を離れた後、亡くなった。

 当時はまだまだペットに冷たかった。
ペットの墓なんて発想はなかった。
そこへ、【開田院】が墓地を売り出した。
「住職の先見の明だで。」
値段は大した事なかった。
でも、時勢が追いついてなかった。
「あの時、喰いついたじーじは大したモンだで。」
お手柄だった。
今や大ブームで、墓地に空きはない。
あっても、値段はニンゲンのと大差ない。
「いい時に、喰いついてくれたで。」

・石屋
 とりあえず、墓標も造った。
一丁前の石屋がある。
【開田院】のすぐ脇に工場を構えてる。
「怪しい‥‥。」
最初は、汎用品で間に合わせた。
石屋が営業攻勢をかけた。
墓地には、グレーの同じ墓標が並んでた。
「見るからに、安い石だで。」

 まおを葬る時、墓を建て替えた。
石屋と交渉して、希望のデザインにした。
もちろん、金額もそこそこ。
石屋の営業は、調子が燗徳利だった。
えらいサービスするみたいな‥‥。
「墓標の周りは玉砂利を敷き詰めますよ。」
出来上がった墓は、そこそこ立派だった。
全体が黒光りしてた。
不思議な事に、墓参りの度印象が変わる。
何となく、グレーっぽい。
写真を較べたら、一目瞭然。
「あの、くも助石屋めー!」

 今や、ペットの墓は様変わりした。
墓地も拡張されて、墓標もグレードアップ。
「ニンゲンの墓より立派じゃん!」
ってな墓も多い。
明らかに石材も違ってる。
ご時勢だべなー。
カネに糸目なんかつけない。
ホンモノには金を惜しまない。
「くも助石屋が商売出来るべか?」