青天の霹靂のこと

・清算
子会社を清算する事になった。
「簡単なこって…。」
ま、株主は一人だし。
いいも悪いもない。
「簡単なこんだで…。」
これまでの業務は、外部の会社に委託。
従業員は、その会社で引き受ける。
もちろん本人が了解しなきゃなんない。
転籍補償金みたいなモンを出す。
結果、全員転籍了解した。
「従業員はまだ恵まれてるで…。」

親会社の役員に呼ばれた。
「旗降り役として、転籍してくれ!」
そーすれば、皆がついて行く。
って事らしい。
実利面は、先方と交渉する。
「決して悪いようにはしないから…。」
元々、選択肢はない。
ヤだって言えば、じゃ御苦労様。
っでお仕舞い。
子会社は無くなる。
働く場はない。
速答した。
「従業員を見棄てたって、言われないのはいい話ですね。」

・旗降り
親会社の社長は、生え抜きじゃない。
外部からの転籍組。
転籍先で、社長まで上り詰めた。
雑誌でも取り上げられた人物。
いろいろ美談も載ってる。
元の会社の社長だった。
事業譲渡に伴って転籍した。
「自分が旗降り役となって、転籍しました。」
悩んでいた従業員も全員続いた。
「社長たる者、従業員を放り出す訳にはいかない。」
けっ!

今度の転籍で、子会社の社長は?
転籍しない。
我関せず。
のうのうと、別な子会社に移る。
「従業員を放り出してんじゃねーか!」
ま、誰も驚かない。
元々お育ちの悪い、心が赤貧の輩。
全然、不自然じゃない。
もちろん、親会社の社長が承認した。
そっちの方がムカつく。
「どのツラ下げて、雑誌にしゃべってんだか?」
けっ!