グルメのこと14

  • 大本命Ⅱ

 札幌に来たら絶対外せない店。
そのⅡは蕎麦屋である。
「志の家」は札幌勤務時代から通ってた。

http://www6.plala.or.jp/shinoya/

 最寄駅は地下鉄東西線「西11丁目」
そこから歩けば2〜3分だ。
”えっ?こんなところに・・・?”みたいなロケーションだ。
マンションの1階にポツンとある。
和風庭園とともに忽然と落ち着いた一角が出来てる。
 思えば、ご主人はお会いした事がない。
でも、奥さんはちょー顔馴染み。
今でも行けばすぐに挨拶に来てくれる。
嬉しいモンである。

  • blog

 今回、店のHPが出来た事を知った。
早速、帰ってからアクセスしてみた。
今まで知らなかったいろんな事が一気にわかってしまった。
ご主人は蕎麦屋を志して、上京。
やっぱ、修行先は「一茶庵」だった。
思わず納得しちゃう。
 ちょー本流の蕎麦じゃないっすか。
外す訳がない。
でも、ひょっとすると越えてるかも・・・。
少なくとも、好みの問題で言えば間違いなく越えてる。
 ご主人はblogを書いてる。
毎日几帳面にって訳じゃなくって、気の向いた時にって感じ。
無理が無くて、自然体の生き様が伝わって来た。
”これがそのまま蕎麦に現れてるんだべなあ・・・。”
ここんちに行き始めてから丸15年。
ず〜っと変わらない味だべさ・・・。

  • グラサン

 前の晩、スパでメガネを壊した。
絶景に見とれてメガネをしたままサウナに入っちゃった。
たちまち、プラスチックレンズはシワだらけ・・・。
2万5千円もしたのに・・・。
あ〜あ・・・。
 仕方なく、持ってきたグラサンをかける。
夜も昼もあったモンじゃない。
「志の家」へもこのスタイルで暖簾をくぐった。
奥さんがヘンな反応してる。
嫁さんの顔はわかったはずだ。
”何だべ?今日はヘンなオトコと来たわ・・・。”
そりゃ、反応に困るべな・・・。
 小上がりの席に座ってからグラサンを外した。
途端に奥さんが転がるように挨拶に来てくれた。
「お久し振り!さっきまで会社の方が見えてたのよ」
危ねえ、危ねえ・・・。
決して会いたいヒトばっかしじゃないもんなあ・・・。

  • トラウマ

 ここに来たら、あれもこれも喰いてゃあ!
最低でも冷たい蕎麦と、暖かい蕎麦を喰いてゃあ!
でも、蕎麦で苦しい思いはしたくない・・・。
蕎麦は大好きである。
同時にちょっとしたトラウマがある。
 子どもの頃、夏休みにはよく長野の親戚に行った。
1人で、1ヶ月間長野に滞在する事が多かった。
長野と言えば蕎麦の本場である。
各家庭で蕎麦を打つなんてえのは当ったり前。
よく、おばさんが蕎麦を打ってくれた。
 子どもの頃から異常に蕎麦好きだった。
「美味えっ!美味えっ!」
「そうか?美味いか?たんと喰え、たんと喰え・・・」
大きなザル一杯盛ってくれた蕎麦をあっという間に平らげた。
 親戚衆が手を止めて眺めていたっくらいである。
ってゆ〜かあ、呆れてたんだべな・・・。
あんまりガツガツしてて・・・。
 それからハンパじゃない量の蕎麦が出て来るようになった。
まさか、残す訳にゃいかんざき・・・。
そりゃ、頑張って喰った。
相当頑張った。
苦しかった・・・。
この時に覚えた事がある。
”好きなモノこそ、適量を美味しく喰うべし!”

  • メニュー

 ってな訳で適量を頼む。
まずは冷たい蕎麦を半分こ喰うべ。
あとは各々好きな暖かい蕎麦を1つずつ頼むべ。
作戦会議が終了してオーダー。
 まずは基本の【せいろ】
スタッフのおねーさんはちゃんと我々の会話を聞いてた。
ちゃんと蕎麦猪口を2つ持って来てくれた。
この心配りが嬉しい。
 まずは蕎麦だけ喰ってみる。
そのまま喰ってみると、蕎麦の香りがモロにわかる。
う〜ん、これぞ「志の家」の蕎麦だ。
「美味いっ!」
 【せいろ】の蕎麦汁が又、えりゃあ美味いっ!
相性が抜群にいい。
他のどの汁よりも、この汁が絶妙に合ってる気がする。
バランスがいいって事なんだべか?
 ここんちには有名な【鴨せいろ】ってえのがある。
これは鴨汁で喰うんだけど、えりゃあ評判がいい。
確かに美味い。
けど、蕎麦との相性は【せいろ】の汁が秀逸だと思う。
 暖かい蕎麦の出番である。
嫁さんは【天ぷら蕎麦】をオーダー。
ここんちは暖かい【天ぷら蕎麦】でも天ぷらを別盛りしてくれる。
嫁さんはこれがお気に入り。
最初っから蕎麦が油っこくならない。
天ぷらの衣もどろどろにならない。
もっとも天ぷらも薄い衣でさっぱり系に揚がってる。
丁寧な仕事だと思う。
 さて、待望の【卵とじ蕎麦】を・・・。
「あれっ?無い・・・」
ショックである。
メニューから【卵とじ蕎麦】が消えていた。
【天とじ蕎麦】はあった。
これは大振りな海老天2本をとじたボリュームたっぷり蕎麦だ。
 「すみません。前に【卵とじ蕎麦】ってあったよねえ?」
「あ、大丈夫ですよ。【とじ蕎麦】も出来ますよ」
嬉ぴいっ!
待望の、憧れの「志の家」の【卵とじ蕎麦】だっ!
 「ホントに卵がフワフワなんだねえ〜」
「そう、これが絶品なんだわ・・・」
「テレビで見た『高橋名人』の作ってたヤツみたい・・・」
ヘンな感心の仕方してる・・・。
 「ねえ、海老天1本手伝ってよ・・・」
「へ?」
「お腹一杯になっちゃうから海老天1本食べてくれる?」
「いいよ」
「その代わり、卵とじをちょっと味見させてよ」
「ほいほい・・・」
 やっぱ、絶品だった。
しっかりした腰の香り豊かな蕎麦。
ゆずの香りが効いたフワフワのとじ卵。
これだよ!これですよ!
結局、3種類の蕎麦を味わえた。
幸せだったあ〜。

  • 薀蓄

 蕎麦打ちの真似事を始めてから2年半。
ずいぶん蕎麦の味が気になるようになった。
嫁さんもなかなか薀蓄がうるさくなった。
「やっぱ、ここんちの蕎麦はナンバー1だわね・・・」
「我が家で打つ蕎麦もかなわないね・・・」
そもそも較べる事が失礼だって・・・。
 でも、暖かい蕎麦は難しいと思う。
すぐに蕎麦がのびちゃう・・・。
しっかりした腰の蕎麦をちゃんとしめて、時間との勝負・・・。
って感じだべな・・・。
ま、ここんち以上の蕎麦にお目にかかった事はない。
 ホントはここんちの暖かい蕎麦は我が家的にはしょっぱい。
汁は丸ごと残さざるを得ない。
なんだけど、じゃこれを薄味にしたらどうなるか?
これがわかんない。
想像がつかないんだなあ・・・。
ま、恐いから今のまんまでいいや・・・。