珍しくも無い本の雑感43(6)

 【人びとのかたち

  • バッシング

 「ライジング・サン」
これは有名な作品である。
著者は原作について作家の視点でコメントしている。
マイケル・クライトン」は「後書き」を書かない方がよかった。
あれさえなきゃ、なかなか面白い大衆小説だったのに・・・とか・・・。
「前書き」や「後書き」は両刃の剣だと言ってた。
 内容は有名な「ジャパン・バッシング
この作品の目的は「頑張れ、アメリカ人!」
愛国心の表れだったらしい。
だから別にテキはどこでも良かった。
70年代に日本が高度経済成長してなきゃテキは別の国だった。
たまたま「ジャパン・バッシング」だったって事らしい。
 著者の息子の高校で課題図書に取り上げられたそうだ。
でも、著者の執拗な日本攻撃で大半の生徒がメゲた。
ヘキエキしちゃって読み終えた子は少なかったらしい。
ふ〜〜ん。
そんなにシツコイんだ・・・。

  • 優しい関係

 「Same Time Next Year」
’78年のアメリカ映画だそうだ。
でも、日本では紹介されなかったらしい。
主演は舞台出身の地味な俳優だったからだんべ。
著者は残念だと言ってる。
 この映画の出演者はほぼ2人だけ。
舞台もほぼ海沿いのバンガロー風の小さなホテルのみ。
えりゃあ安くあげた映画らしい。
でも、実によく出来た作品だという。
この著者が誉めるっくらいだから、よっぽどいいんだべ。
 ’51年のカリフォルニア
この小さなホテルで30代前半の男女が出会う。
レストランで夫々別卓で食事をしていてふと眼が合う。
男は毎年この時期に、葡萄園を経営する友人の経理をしに来る。
女は毎年この時期に、養老院に姑を訪ねる。
2人とも結婚してて、子どもも3人ずつ。
運命の出会いである。

  • オトナの恋

 会話がはずむ。
かぎりなく話す。
互いの配偶者にも言えなかったことまで話し合うようになる。

「完全に率直になれるのは、何とすばらしいことだろう」
「あなたとは、何でも話せるのが不思議だわ」

 画面は一転して、モノクロ写真が次々映し出される。
マッカーサートルーマンマリリン・モンロー・・・。
そして画面には「1956年」と映し出される。
年に一度の出会いの5周年を祝う2人。
盛装した2人が近所のレストランで夕食をとる。
バンガローにもどり、1年間に起こったことをすべて話す。
 画面は又、モノクロの写真。
グレース・ケリー、プレスリー、ケネディ・・・。
画面に「1961年」の文字。
到着した女は8ヶ月の身重だった。
女が急に産気づいて、男は医者探しに大あわて。
 画面はキング、ビートルズ、ヴェトナム・・・。
「1966年」
男はエグゼクティブ風な経営コンサルタントになっていた。
到着した女はインディアン風なヒッピーに。
大学に入ってヘナチョコ左翼ぶりっこしてた。
会話ははずまない・・・。
男の息子はヴェトナムで戦死していた。
2人で泣く・・・。
あの病んだアメリカの象徴だんべな。

  • 黄昏

 画面は反戦デモ、アポロ月面着陸、ニクソン・・・。
「1972年」
女は実業家に転身した。
男は経営コンサルをやめてクラブのピアノ弾きになっていた。
男は精神分析医にかかっているという。
でも、21年目を迎えて打ちとけて話し合う関係は変わらない。
 ジョーズ、ロッキー、スター・ウォーズ・・・。
「1977年」の2人は落ち着いた服装。
男は妻を亡くし、大学で経理を講義するようになっていた。
女は夫が病に倒れたのを機に、実業家をやめた。
男は、女に結婚を申し込む。
女は、何度そう言われるのを夢見たことかと言いながら、受けない。
「結婚はできないわ。なぜなら、もう結婚しているのですもの」
すったもんだの挙句、このパターンはエンドレスで続く。
 この映画、観てぇあっ!
何だかしみじみして面白そうじゃん。
同じ、黄昏でも滑稽で哀しくて優しい・・・。
日本では公開されなかったらしいからやっぱ海外行かなきゃ。
続きは又・・・。