珍しくも無い本の雑感43(3)
【人びとのかたち】
- 名言
この本には、しまって置きたくなるようなセリフが沢山あった。
そりゃ、映画だからねえ・・・。
洗練されたセリフが多いのも当然かも・・・。
加えて、著者が添えるコメントが又いい。
「一度もベッドをともにしていない男というのは、女にとってなんとも不安定な存在だ。なぜなら、どの辺まで無理を言ってもかまわないかを、計りようがないからである」
「男女を問わず、幾分かの不安を内包した台詞は美しい。そして相手に訴えかける力も強いのではないか」
「理解を求めるよりも愛されることを望む方が、度胸がいるのである」
やっぱ、このヒト、ちょっと作りが違うみたいである。
- 戦争映画
恋愛映画と並んで戦争映画のコメントも多い。
やっぱ、歴史物語に取り組んでる所為だんべ。
ローマ時代の戦争の本も一杯書いてるし・・・。
これにもちゃんと一家言がある。
「兵士というものは、平然と見方を犠牲にする将には絶対に従いていかない。ハンニバルもスキピオもカエサルも、無用な犠牲を払わないことによって、兵たちの信頼を得ていた武将である」
「パットン大戦車軍団」の冒頭場面。
パットン将軍の演説の一部。
「いかなる野郎といえども、祖国への想いだけで戦争に勝った奴はいない。もし勝ったとしたらそれは、敵の野郎どもに彼らの祖国を想わせ、そのために死ぬように仕向けることができたからなのだ」
んな〜るほど・・・。
- パフォーマンス
ヴェトナムモノの映画では「地獄の黙示録」は最高だという。
2人のリーダーが登場する。
1人は「マーロン・ブランド」演ずる「カーツ大佐」
公開当時、映画評論家から絶賛されてたらしい。
著者はこの大佐は戦時中のリーダーとしては失格だという。
人間的でもあれでは部下は幸福に死ねないとか・・・。
もう1人「ロバート・デュバル」演ずる大佐がいた。
一見、単細胞に見えるこのリーダーはなかなかだったそうだ。
テンガロンハットを被って、ギター片手に野外パーティ。
死と向い合わせの兵士たちに笑いが漂う。
戦時のリーダーはパフォーマンスの名手である事が求められるとか・・・。
- 正義
「ダイ・ハード」も俎上に乗った。
これは観たなあ・・・。
終始、ドカン・バキャンで騒がしい映画だった気がする。
著者はこの映画でアメリカ人が理解できるという。
アメリカ人とは、自分たちの考える正義のためならば、高層ビルがメチャメチャになろうがヘリコプターが爆破されようが人が殺されようが、文字どおりダイ・ハード(絶対にくたばらない)で突き進みたいと願っている民族であることが、この映画を観るだけでも理解できたと思うのだ。
更に突っ込む。
正義は、他者も正しいと認めてくれなければ成り立たなくなるというやっかいな面をもつ。
アメリカ人が終始、正しい戦争か否かを問い続けるのは、正義のために戦う民族であるからだろうか。「義」なのだから、アラブの大義をもってこられるとますます、こちらの義は「正」であることを強調する必要に迫られるのだ。
単にカラスの勝手だっていう噂もあるけど・・・。
続きは又・・・。