珍しくも無い本の雑感43(2)
【人びとのかたち】
- 恋愛映画
この本では恋愛映画が沢山取り上げられている。
「月の輝く夜に」「生活の設計」「恋人たちの予感」・・・。
他にもまだまだ沢山・・・。
当然、男と女の心の機微を描いてる。
この描写を材料にして「塩野節」で料理する。
この味がなかなかイケてる。
何度も吹き出しそうになった。
見てるところもちょっと違う。
「月の輝く夜に」での一場面。
はじめてのデートの夜、「ニコラス・ケイジ」が女性に言う。
「おしゃれしてくれて、ありがとう」
んな〜るほど・・・。
何て小洒落た事を・・・。
良くこんなところを見てるモンである。
- 恋愛のプロ
「オンナは恋愛のプロ」であると言ってた。
その通りって気もする。
「恋人たちの予感」へのコメントもふるってる。
「私もずいぶんと無駄をしてきたけれど、セックス抜きで男女の愛情は成立しえるかというテーマを追求する、という無駄だけはしなかった」
「私はいまだに、作者ロブ・ライナーの真意がつかめないでいる」
不倫についても一家言あった。
「ゲイリー・クーパー」と「パトリシア・ニール」
これが破局に終わった不倫の好例だそうだ。
「キャサリン・ヘプバーン」と「スペンサー・トレイシー」
これは破局に終わらなかった・・・。
トレイシーは心臓発作を起こした。
第一発見者のヘプバーンは10分ほど遺体の傍にいたが、部屋を去る。
ヘプバーンはミサにも墓地での葬式にも出席していない。
仕事仲間であるにもかかわらず・・・。
葬式の48時間後にトレイシー正夫人に弔意を表しに行ったそうだ。
「自分にとって何が最重要事かを頭にたたきこみ、それを獲得するためには犠牲にできるものはすべて犠牲にしないと成り立たないのが、不倫と呼ばれる男女関係であるような気がしてならない」
そんなデキた女性って、いないっしょ。
- ある女
ある面で、この部分が一番面白かった。
あるところに、女が1人いた。女は、23年ぶりに昔の愛人と食事していた。(中略)男は、23年前のアポロの彫像にも似た美しさはやはりなかったが、半分のイギリスの血を思わせる背筋ののびは昔のままだ。そして(中略)昔よりも金持ちになっているらしかった。
男は、40歳になってから結婚したという妻を、つい先頃、ガンで失っていた。子はなかった。女のほうは、離婚していた。17歳になる息子を育てるのと仕事の日々だった。
へ?
これってひょっとして自分の事だべか?
男は昔、眼を輝かせてヨーロッパを満喫しはじめていた女にとっては格好の相手だった。姿の良い美男で、ケンブリッジ卒らしい礼儀正しさがあった。大金持ちだったから、東はベイルートから西はロンドンまでの華やかな社会を味わわせてくれたのは彼である。(中略)
だが、女に歴史物語を書かないかという話が起こったときから、女の生活のほうが変わった。図書館や(中略)美術館通いが日課になったからである。こうなると、男は、人柄はすこぶる善かったのだが、格好の相手とはいえなくなった。
医大生に出会ったのは、そんなときである。貧しい学生だったが、少なくとも話ができた。それに彼は、本屋のショー・ウィンドーの前を素通りしない男でもあったのだ。
ふ〜〜ん。
間違い無さそうである。
23年ぶりの出会いは、男が英国大使館のパーティの席で(中略)外交官に自分は日本の女を知っていたと言ったことからはじまる。(中略)外交官は、彼女はフェイマス・ライターだと言ったらしい。(中略)
女は、午后の3時には男と別れていた。(中略)23年ぶりの再会でも、あの男とは、ほんとうに善意あふれる人なのだが、3時間も話せば充分だった。
きびし〜〜っ!
恋愛のプロは男を見る眼も肥えてるんだべな・・・。
続きは又・・・。